国内 2015.09.05

NTTダービーのプレ開幕はドコモ先勝 03年W杯代表の両軍FWコーチは…

NTTダービーのプレ開幕はドコモ先勝 03年W杯代表の両軍FWコーチは…

 日本最高峰ラグビートップリーグ(TL)の今季の前哨戦となるプレシーズンリーグが4日、東京・秩父宮ラグビー場で開幕。NTTドコモがNTTコムとの系列企業同士のダービーマッチを16-5で制した。

 16チームが4組に分かれておこなう同リーグの初戦。時にパスの軌道が大きく前方へ流れるなどミスの多い試合展開となった。

 NTTコムは前半15分に敵陣ゴール前左ラインアウトを起点に、LO鶴谷昌隆のトライで先制。以後もセットプレーを安定させたが、攻め込んでからのエラーが目立った。一方、落球を拾っての得点などで前半を10-5とリードしたNTTドコモは、時間を追うごとに肉弾戦周辺での出足を鋭くしたか。

「(守備の)ラインスピードは、前半から変わっていなかった。ただ、NTTコムさんが後半に鈍ってきた。それでこちらの出足が速くなっているように感じたのかな、と」

 こう語るのは、勝った箕内拓郎FWコーチだ。2003、07年のワールドカップ(W杯)で主将を務めた元日本代表は、昨季限りで現役を引退し今年度から現職に就いた。指導者としての初陣を「チームにとって何が一番いいかを選手と考えながら、やってきた。僕としても自信になった」と前向きに振り返った。

「いまは練習試合のような位置づけで、現状を把握する場でもあった。まぁ、やりたいことは半分、できたかな、くらいです。それでも自分たちの形を少しでも出せれば結果はついてくるかな、と。前半が終わった段階で、相手選手は疲れていた。だから後半はもっと楽な展開になると思ったけど…(わずか6得点)。もっとも、(それが原因で)崩れてしまうシチュエーションも多々あったと思うんです。そこをしのげたのはチームの成長なのかな、と」

 かたや2003年のW杯で箕内とともにプレーした元ジャパンの大久保直弥は、NTTコムの就任1年目のFWコーチとして敗戦を見届けた。「やりたいことを全くさせてもらえなかった」。ため息をつく。肉弾戦での手応えは「全然」と振り返り、鍛錬の成果を覗かせたセットプレーについても「不満ですねぇ。僕はね」と手厳しかった。

「ラグビーの原点はフィジカルだった、ということです。(セットプレーでも)大人しい印象を受けました。上手くやろうとし過ぎ。(スクラムでぶつかり合う瞬間に力強い押し込みをするなど)もっとチャレンジしなきゃいけない。それが原因でペナルティをもらったりボールを失ったりするのは、問題ないんですよ。この時期にプレシーズンリーグをやる意味を考えると、勝った負けたよりチャレンジしたかしていないかの方が大事です。チャレンジしてのミスだったら、もっとした方がいいです」
    
 2000年代にファンを沸かせた戦士は、青年コーチとして試行錯誤するチームを見つめている。

(文:向 風見也)

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