国内 2015.05.05

ワールドユース4強入り逃すもさらなる成長へ。御所実、京都成章、常翔学園

ワールドユース4強入り逃すもさらなる成長へ。御所実、京都成章、常翔学園

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(写真:戦いを終えた常翔学園とNZ・スコッツカレッジの選手たち)

 福岡・グローバルアリーナで開催中の「サニックス ワールドラグビーユース交流大会 2015」で8強入りしていた御所実業高校(奈良)、京都成章高校(京都)、常翔学園高校(大阪)だが、いずれも準々決勝で敗れ、5月5日(大会5日目)は5〜8位決定トーナメントへまわる。

 3日、御所実は優勝候補の南アフリカチーム(ポールルースジムナジウム)に0-38で完敗した。雨の影響もあったか、御所実は前半から防戦一方の内容。南アの15分と27分のトライは、御所実のキックミスからカウンターアタックされてあっさり奪われたものだった。後半も消極的で、竹田寛行監督は「センバツ(全国高校選抜大会)出場を逃して、せっかくこの大会でいい経験をさせてもらっているのに…。思いきりぶつかっていってない」と厳しかった。
 FBの井上拓キャプテンは、自分自身の人間的な弱さを知ったという。
「しんどい時間帯になって自分が気持ち的に落ちてしまって、チームを引っ張ることができなかった。最後まで戦おうと決めていたんですけど、前に出る姿勢がなかったです。自分たちがやってきたことさえ何もできひん、といういまの立ち位置を確認させてもらいました。自分たちの弱さを知ったことが収穫だと思います。僕ら、選抜大会も出させてもらっていないんで、貴重な体験をさせてもらっているこの大会でひとつでも課題を得て、次につなげられるような『コネクト』を大切にしたい。きょうの試合は次の試合に、この合宿は次の合宿につなげられるように、成長していきたいと思っています」

 ゴールデンウィークをグローバルアリーナで過ごす高校生たちは、8日間におよぶこの大会で休養日を2回はさみ、計6試合をおこなう。敗れたチームもあと2試合、貴重な経験ができる。
 御所実が次に対戦するのは、同じ近畿勢の京都成章だ。

 京都成章は初日にニュージーランドチーム(スコッツカレッジ)相手に健闘し、3日の準々決勝ではイングランドのトルロカレッジに15-20の惜敗だった。
 大きな拍手を浴びてグラウンドを離れたあと、湯浅泰正監督は「勝たないとね」と苦笑いしたが、「タックルもよく行ってくれた。ベストゲームをやってくれたと思います」と選手たちのアグレッシブな60分間を称えた。
 前半からひたむきなディフェンスを繰り返して先制し、PR山田有摩などの豪快な走りも勢いをつけた。体格の大きなイングランドの選手に突破されても、京都成章のカバーディフェンスは素晴らしく、小柄だが勇敢な選手たちが思い切り体をぶつけて相手を外に押し出す場面もあった。終盤にPG2本を決められ逆転負けを喫したが、攻守ともに全員で戦った姿勢を湯浅監督は評価した。
「たくましくなってきている。自分たちでよく考えてやっているのがいい。残り、今日以上のゲームをしたい」

 常翔学園はニュージーランドのスコッツカレッジに4強入りを阻まれたが、12-55で完敗した試合で得たものは大きい。
「個々が強くなってチームが強くなる、というお手本を見せてもらい、勉強になりました。ニュージーランドは、一人ひとりがしっかり判断してプレッシャーをかけてくる。あのアグレッシブな感じを勉強して帰りたい。これは日本に一番足らない部分ですから」と野上友一監督。
 過去2年連続で花園出場を逃している。今年の1月は福岡にいて、今大会の予選会に参加していた。
「チーム作りはあそこから始まった。そこから比べると、選手は気持ちも体も技術も成長している。先輩が悔しい思いをして卒業したのを目の当たりにしているので、体作りから、自分たちでしっかりやらんとアカンという自覚がありますね。ラグビーをもっと勉強しよう、もっと吸収しようという意欲が高いチームです」
 昭和天皇崩御で中止になった第68回全国高校大会の“幻の決勝”、「大阪工大高×茗溪学園高」の試合が、4月26日の関西ラグビーまつりで、両校のOBたちによっておこなわれた。校名は変わったが、大阪工大高の魂を引き継ぐ常翔学園の現役選手たちはその一戦を観に行き、「工大の先輩スゴイな。あれが見本やで。復活させよう!」という気持ちを抱いたという。
 今年にかける意気込みは強い。ワールドラグビーユース交流大会の優勝はならなかったが、この経験を活かしてもっといいチームにしていきたいと野上監督はいう。 
 5日は、ロシアのエニセイ-STMと対戦する。こちらは初の8強入りを果たし、今大会で称賛されているチームのひとつ。準々決勝ではオーストラリアのブリスベンボーイズカレッジから金星を奪う寸前までいっており、常翔学園との試合も好ゲームになりそうだ。

<大会4日目/5月3日 結果>
▼準々決勝
・ポール ルース ジムナジウム(南アフリカ) 38−0 御所実業高(奈良)
・トルロ カレッジ(イングランド) 20−15 京都成章高(京都)
・スコッツ カレッジ(NZ) 55−12 常翔学園高(大阪)
・ブリスベン ボーイズ カレッジ(豪州) 22−14 エニセイ-STM(ロシア)

▼9〜16位決定トーナメント
・流通経済大学付属柏高(千葉) 53−5 ペクシン ハイスクール(韓国)
・尾道高(広島) 28−12 アール マリオット セカンダリースクール(カナダ)
・佐賀工業高(佐賀) 24−5 ジエングオ ハイスクール(中華台北)
・東福岡高(福岡) 43−24 長崎北陽台高(長崎)

<大会5日目/5月5日 組み合わせ>
▼準決勝
・14:00 ポール ルース ジムナジウム(南アフリカ) − トルロ カレッジ(イングランド)
・15:20 スコッツ カレッジ(NZ) − ブリスベン ボーイズ カレッジ(豪州)

▼5〜8位決定トーナメント
・11:00 御所実業高(奈良) − 京都成章高(京都)
・12:20 常翔学園高(大阪) − エニセイ-STM(ロシア)

▼9〜12位決定トーナメント
・14:00 流通経済大学付属柏高(千葉) − 尾道高(広島)
・15:20 佐賀工業高(佐賀) − 東福岡高(福岡)

▼13〜16位決定トーナメント
・11:00 ペクシン ハイスクール(韓国) − アール マリオット セカンダリースクール(カナダ)
・12:20 ジエングオ ハイスクール(中華台北) − 長崎北陽台高(長崎)

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準々決勝:京都成章×トルロカレッジ

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