国内 2014.10.06

ファーストXVへの思い、大勝呼ぶ。帝京大、雨中戦98-0のメンタル

ファーストXVへの思い、大勝呼ぶ。帝京大、雨中戦98-0のメンタル

teikyo


体を張り続けて信頼を得た帝京大FL飯野晃司(撮影/松本かおり)


 雨のせいだった。
 開幕から2戦とも118得点(対立教大=118-5、対青山学院大=118-3)だった王者が、この日は98得点にとどまった。勝者が3桁得点に届かなかったのも、敗者が好天時のようなアタックを見せられなかったのも天候のせいだ。試合前も試合後も降り続いた雨は、人工芝グラウンドにも大きな水たまりを作るほどだった。
 そんな状況の中での98得点だ。実は118得点以上の価値があった。

 10月5日に帝京大学グラウンドでおこなわれた関東大学対抗戦A、帝京大×明治学院大は98-0と大きくスコアが開いた。悪コンディションの中での対戦に、両者の基本プレーへの意識、力量差が露わになった。
 帝京大のスターティングメンバーの中で、今季開幕戦の先発に名を連ねていたのは4人だけ(LO金嶺志、NO8河口駿、SO金田瑛司、CTB前原巧)。ファーストフィフティーンへのそれぞれの思いが、大勝を呼んだ。
 メンバー編成について、岩出雅之監督はこう話した。
「何人かにAチームの自覚を持たせるというのであれば、(いつもの先発と)数人を代えることでよかったかもしれません」
 狙いは違った。
「そういうことは、これまでにやってきています。Aチームのメンバーたちでも、シーズンの初戦というのは特別な感覚になるものです。それをテンションを高め、自ら打ち破っていく。Aチームを狙っていこうとする選手たちにも、そういった機会を与えようと考えました」
 日々の生活にいい加減に取り組んでいる者は、この中にはいない。岩出監督は、そう付け加えた。

 指揮官は試合前、選手たちに「自分たちの目指しているレベルはどこなのか。そこに向かってプレーを」と言って送り出した。
 この試合に勝つだけでなく、ファーストジャージーを着続けられるためのプレーと気持ちが見たかった。特に前半、雨中でもほとんどハンドリングエラーはなかった。コンタクトの激しさ、ボールを動かす意志も強く伝わってきたのは、選手たちが求められているものを理解した結果だ。
 FL飯野晃司の激しく、愚直なプレーは、きっと大きな信頼を得た。今季開幕から3戦連続先発出場を続けるLO金嶺志も、その理由がわかるパフォーマンス。それぞれから、真紅のジャージーへの思いは伝わった。

 立ち上がり2分の先制トライで始まった前半は55-0。終盤にややハンドリングエラーが出たが、後半も43-0とした。PR東恩納寛太が3トライを挙げたのを筆頭に、10人がインゴールに駆け込み全16トライ。
 岩出監督は「これを再現し続けることが大事」と、出場した選手たちへエールをおくった。

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