どうした!? 昨季全国4強の東海大が早くもリーグ戦3敗目
(撮影:直江光信)
昨季は大学選手権4強入りを果たした東海大が、いま、泥沼にはまっている。関東大学リーグ戦1部で11月9日、昨季4位の法大に15−26で敗れた(東京・秩父宮ラグビー場)。相手の鋭く飛び出す守備網に真正面からぶつかり、跳ね返された。2007年度以来5度もリーグ戦を制してきた強豪だが、今季は早くも3敗目を喫した(3勝)。
「耐えられない、ですね」。法大戦後、木村季由監督はつぶやいた。今季は9月29日に前年度6位の中大に14−23で敗れ、11月2日には昨季7位の大東大に29−34と屈している(ともに東京・キヤノンスポーツパーク)。指揮官は、「負けパターンは全部、一緒」だと話す。
「慌てなくていいところで慌てるし、何か、チグハグなんですよね。(法大戦も)身体を当てた感も、戦った感もないですし。選手もどこか冷めちゃってて、ガーって言える奴が周りの反応の薄さにイライラしているわけです」
苦しい陣容で戦っている。PR坂尻龍之介主将はパフォーマンスの側面からメンバー外となり、肉弾戦で渋い光を放つLO坂本駿が再三に渡るアキレス腱の断裂で戦列を離れた。法大戦を欠場した7人制日本代表のWTB小原政佑も、指揮官によれば「6割程度」の状態だという。もっとも、日本代表候補のWTB石井魁、20歳以下代表のFB近藤英人など決定力あるスピードランナーが揃っている。何より、長年にわたる計画的な肉体鍛錬のもと、リーグ戦屈指のフィジカルを有している。チームに根付く真の課題は、指揮官が「チグハグ」という選手同士の様子だろう。2年ながらリーダーシップが買われるFL藤田貴大も、法大戦時のコミュニケーションをこう反省していた。
「ディフェンスでコール(指示)を出しても、会話が成立しなくて、言いっぱなしになったと思うんです。『流してくれ(接点の近くから外側に移動しろ)』と言っても、中(接点付近)には伝わってなくて…。で、中は前に出て外は流して、となる。そこにギャップ(相手の付け入る隙)が生まれる。そういう部分を直していかないと」
チームは現在、勝ち点15で3位に位置する。リーグ戦は混戦模様とあって、上位5チームという全国大学選手権出場枠争いでも当落線上にある。「選手たちには、あと1.5倍、耐える力を付ければもっと強くなるよ、と言ってるんですけどね。(この先は)いくつか(課題を)絞り込むしかない。バランス、バランスと言っていられる状態ではないので」と指揮官。24日、秩父宮で開幕5連勝中の流経大(前年度2位)とぶつかる。課題を解消し、化けられるか。