国内 2013.10.01

元スティーラーズ先生、跳ぶ。ラグビー国体(成年男子)に懐かしい顔。

元スティーラーズ先生、跳ぶ。ラグビー国体(成年男子)に懐かしい顔。

試合終了寸前、熊本県代表の竹下敬介が笑顔でインゴールへ。(撮影/松本かおり)

 

 

 

 懐かしい顔があった。その人が跳んだ。
 9月30日に武蔵野市陸上競技場で開催された東京国体のラグビー、成年男子(7人制)の決勝トーナメント。7位の成績を残した熊本は、佐賀に17-24で敗れて戦いを終えた。
 竹下敬介がダイビングトライを見せたのは、最後の最後。熊本のラストプレーだった。

 

 いい笑顔でトライしました。跳んだ理由は?
「予選からこの本大会まで、まったく(自分で)トライをとれなかったので、その喜びもあります。でも、これまで一緒にやってきたオール(熊本)の仲間への気持ちの部分が大きいですかね。勝負も決まっていたし、ありがとう、と(笑)」
 熊本西高出身の35歳。筑波大卒業後、2006年まで6シーズンに渡り神戸製鋼でCTB、WTBとしてプレーした。その後、ワールドに移籍(2年)。2009年に故郷・熊本の専大玉名高校にラグビー部が出来るのと同時に誘われ、同校に奉職した。ラグビー部の指導にあたって今年が5年目だ。

 

 現在部員は27名。8割は高校からラグビーを始めた子どもたちだ。チームは少しずつ進化。県内ベスト8あたりまで歩を進めている。
「自分がプレーヤーの間は教える側の気持ちや考えに思いか及ばなかった。いまは、人に伝える難しさと楽しさの両方を感じて生活しています」
 10月26日から始まる花園予選では、初戦で熊本北高校と対戦する。
「まずはベスト4を目指したい。そして、近いうちに県で一番に。そこを毎年目指していくことで、部に伝統もできていくと思っています」

 

 

 神戸製鋼時代に叩き込まれたハンドリング技術、スペースにボールを運ぶ感覚を子どもたちに熱心に伝えている。卒業生の中には大学ラグビーで活躍する選手も出てきた。教え子たちの元気な姿が映し出されるテレビ中継を、目を細めて見つめる。

 

「教え子がいま、立正大のSHで出場しているんです(2年/野田孝宏)。J SPORTSで自分の高校の名前が呼ばれたときの気持ち、たまらなくいいですね(笑)」
 現役時代より体重が4、5キロ増え、少し丸くなった。その表情から、充実した日々が浮かぶ。
 人生はおもしろい。

 

 

 

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