国内 2013.10.01

「涙が出たよ」。ラグビー国体(成年男子)5位・佐賀の夢、ギャムの夢。

「涙が出たよ」。ラグビー国体(成年男子)5位・佐賀の夢、ギャムの夢。

胸を指さし「佐賀プライドね」という副島。ラーメン、寿司が好物。(撮影/松本かおり)

 

 

 開催中の東京国体。ラグビー成年男子(7人制)は9月30日に決勝トーナメントが開催された。
 武蔵野市陸上競技場のスタンドで、いろんな人がささやいていた。
「ソエジマって人、すごい」

 

 褐色の巨漢。佐賀県チームの副島亀里ラティアナラ ララボウだ。愛称『ギャム』は玄海タンガロア(クラブ)の一員として、春のウイダージャパンセブンズでは秩父宮でも活躍した。フィジー生まれの31歳は、今年4月に帰化。この国体でも巧みなブレーで自らトライを量産し、仲間を走らせる大活躍だった。

 

「(味の素スタジアムで行われた)開会式は素晴らしいセレモニーだった。エモーショナルな空間。オリンピックみたいで、僕、泣きそうだったよ」
 フィジーから日本にやってきて5年目。以前JICAのボランティアでフィジーを訪れていた彩さんと結婚し、現在は佐賀市に住んでいる。シライシ舗道の社員として、道路工事の現場で働く。

 

「開会式が終わって、彩さんに電話しました。で、僕は本当にラッキーだ、と言いました。日本人になれて、こんな素晴らしい経験もできたんだから」
 フィジーにそのまま住んでいたら、サウスパシフィックゲームズ(南太平洋諸国の総合競技大会)、コモンウェルスゲームズ(英連邦大会)のような国際大会に出ない限り、こんな感激は味わえなかったと笑う。新しい自分の国がますます好きになった。

 

 かつてトップリーグのコカ・コーラウエストでプレーしていた江浦干城監督率いるチームは決勝トーナメント1回戦で東京に敗れたが、順位決定戦で勝ち続けて5位に食い込んだ。優勝を狙っていただけに残念な表情を見せた監督は、「『ふるさと選手』がほとんどだったので、この大会で初めて集まったチーム。でも、ある程度はやれましたから、来年以降はもっと工夫して強化したいですね」。

 

 就任3年目で15人制が7人制に変わり、初年度で戸惑った面もあるけれど、可能性も見えた。ユニバーシアード、アジアセブンズシリーズで7人制日本代表に選ばれた染山茂範(中国電力)も参加するなど、ふるさとへの思いで結束しているチーム。可能性を秘めている。

 

 

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