国内 2013.09.08

豊島翔平、大怪我からちょうど1年後の復帰。トライ。東芝快勝。

豊島翔平、大怪我からちょうど1年後の復帰。トライ。東芝快勝。

「ここからがもっと大事」と豊島翔平。80分フル出場。(写真/BBM)

 

 

 ちょうど1年前だった。昨年の9月7日、秩父宮ラグビー場。トップリーグ第2節のキヤノン戦は、東芝・豊島翔平にとっては思い出したくない試合だ。

 

 出場1年目は出番に恵まれなかった。そして迎えた昨季。2年目の開幕戦にフル出場した豊島は、続くキヤノン戦でも11番を背にピッチにいた。悪夢の瞬間は前半29分。相手の激しいタックルを受けたスピードスターは、左足首を脱臼骨折。靱帯も切れた。

 

 すぐに手術。苦しいリハビリを重ねた。公式戦復帰は今年6月末、7人制日本代表として出場したワールドカップ・セブンズ。その後、夏合宿を経て2年目の開幕を迎える。
 初戦こそ出番はなかったが、運命の日からちょうど1年経った2013年9月7日、復活の舞台は巡ってきた。コカ・コーラウエスト戦、ふたたび11番を背負って福岡・レベルファイブスタジアムのピッチに立った。

 

 前半1分。その豊島が防御を切り裂いた。
 コーラ陣22?ライン付近、ほぼ中央のスクラムから東芝は右に攻める。SH吉田朋生のパスを受けたSOデイビッド・ヒルが内にパスを返す。ブラインドサイドからタテに切れ込んだ豊島が走り、タックラーをはね飛ばし、先制トライを挙げた。
「あのプレーはイメージの中にありました。トップリーグでの初トライということもあり嬉しかった」

 

 いい笑顔だった。しかし、まだスタートラインに立っただけということは忘れない。
「ただ、そのあとがよくなかった。運動量が足りない。最後はバテました。ノックオンもしました。あとでビデオを見るのがこわい。ミーティングも…(笑)」
 試合前は、いろいろ考えた。また9月7日に何かが起こったら今後も、自分にとって、ずっと重荷に感じる日になってしまうと思った。そんな不安を乗り越えて決めたトライ。周囲の祝福が心地よかった。

 

 

 チームは、この快走で勢いに乗った。
 5分、ヒルのキックを最後まで追ったFB立川剛士がインゴール左スミで押える。16分にはWTB廣瀬俊朗。25分のCTB増田慶介、29分のSH吉田のトライは、いずれもターンオーバーから奪った。
 前半で33-0。ファイナルスコアは45-0まで開いた。
「開幕戦で苦戦し(キヤノンに10-8)、攻守とも修正した結果が出た」と和田賢一監督。ゲームキャプテンの望月雄太は「東芝の原点である前に出ることに集中した」と語った。

 

 コカ・コーラウエストの山口智史監督、豊田将万主将に、「東芝のプレッシャーはもの凄かった」と言わせた完封試合は、開幕戦で苦しんだ東芝にとって手応えある勝利。将来性豊かな高速ランナーの新たなスタートを祝うにふさわしい80分だった。

 

 

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