国内 2013.05.06

シツコイ御所実 サニックスワールドユース国内勢最高位

シツコイ御所実 サニックスワールドユース国内勢最高位


1


サニックス2013ワールドユースでたくましさを増した御所実(黒)と東福岡


(撮影:Hiroaki. UENO)


 



 全国トップレベルの高校8校、さらに海外から8チーム(計16チーム)が福岡・グローバルアリーナに集い、4月28日から熱戦を繰り広げてきた高校ラグビーの祭典「サニックス 2013 ワールドラグビーユース交流大会」は、5月5日に大会最終日を迎え、セント ケンティガン カレッジ(ニュージーランド)の優勝で幕を閉じた。NZ勢としては4連覇。決勝では、強固なディフェンス力と6トライを奪う攻撃力で、40−8とハートプリー カレッジ(イングランド)を圧倒した。
 3・4位決定戦は、セント ジョセフス ナッジー カレッジ(オーストラリア)が
20−7でダニエル ピナール テクニカル ハイスクール(南アフリカ)に勝利。5・6位決定戦では、御所実(奈良)が26−21で東福岡(福岡)を破り、日本勢最高位の5位に入った。今春のセンバツで準優勝した東海大仰星は、冬の花園で全国高校大会2連覇を目指す常翔学園との大阪勢対決を36−5で制し、7位という結果に終わった。



 御所実×東福岡。キックオフレシーブでキャプテンのWTB東川寛文がビッグゲインするなど、東福岡が序盤からテンポよく攻め上がった。ゴール前に迫られながらも、1分、4分と守った御所実だったが、6分、ヒガシは22メートル内に入って左への展開からFB市橋誠が飛び込み、先制する。
 しかし10分すぎ、東福岡が自陣でパスを乱し、御所実のWTB坂本英人がこぼれ球を
すかさず拾って駆け抜け、7−7の同点に追いついた。だが、出足鋭いディフェンスで相手にプレッシャーをかけ続けていた東福岡は、8分後に再びリードを奪う。敵陣に入り、タックルからターンオーバー。左への展開でパスは乱れたものの、BKが足を巧みに使ってボールをキープし、FB市橋が左サイドを突破してインゴールに入った。
 前日は東海大仰星を破り、勢いが感じられた東福岡。しかし、御所実は食らいつい
た。22分、相手陣内深くでのスクラムから右へ展開し、粘り強くつないでWTB久保元臣がトライ。スピードあり、アグレッシブな両チームの戦いは14−14でハーフタイムを迎えた。
 後半、先にスコアボードを動かしたのは御所実。6分、ラインアウトからのロング
ドライビングモールで押し込んだ。そして8分後、御所実はヒガシの速いディフェンスを細かいクイックパスでかわし、WTB坂本が抜けて約40メートルを走り切り、26-14とリードを広げた。
 その後、東福岡が1本返し、約11分を残して5点差となった。が、御所実は守り切
った。27分、モスグリーン軍団が敵陣22メートル内に入るも、密集からボールが出るや黒衣のSH吉川浩貴が勇敢にボールへ飛び込み、ピンチを脱出。終盤にも東福岡が怒涛の攻めを繰り返し、FWが前進を試みたが、御所実の選手たちはゴールラインを割らせず、ノーサイドの笛が鳴った。



 試合後、粘り強いディフェンスを記者たちから称えられた御所実の竹田寛行監督だが、「まだまだ。ヒガシがエラーしなかったら50点くらい取られてますよ」と謙遜した。「ウチの選手は体が小さいから、どことやってもこじ開けられる。でも、自分たちではそんなに感じていないんですけど、しぶとさが出てきたかもしれませんね。NZのコーチ陣から、日本語で『シツコイネ』と何度も言われた。小さいのにしつこいと絶賛されて、うれしかったですね。南アからも同じようなことを言われたので、ウチの選手たちにもそのことを教えて、『自信を持って行け』と言いました」。
 強豪チームとの集中した試合のなかで駆け引きを教えられたのもプラスとなり、
今大会を通じて、チーム力を上げられたことが大きいと語った竹田監督。SOのディフェンスが機能し始め、怪我から戻ってきたFB竹山晃暉がようやく復活の兆しを見せてペネトレーターになっていたことも、収穫と振り返った。
「やるべきことはたくさんある。でも、今大会は怪我人を出したくないというのもあ
って、楽しい修学旅行にしてやりたいなと思っていた。NZ戦(準々決勝)でボロ負けするのはわかっていたけど、できることをやって楽しもうやと。その雰囲気で繰り返したものが常翔戦(5〜8位決定トーナメント初戦)でうまくフィットしましたしね。みんな楽しんで自信をつけた。『苦しいけど、ひとつになれたら小さくてもできるんや』というのを今大会では持って帰りたかったんで、よかったです」



 そして知将は、「夏を越えてからが本番です」とも言った。暑い季節にたくましく成長し、秋に負けたら終わりの予選を勝ち抜き、冬の花園で全国の頂点に立つのはどのチームか。
 高校ラグビーからも、目が離せない。


 



<サニックス 2013 ワールドラグビーユース交流大会 最終日結果>



■決勝戦
セント ケンティガン カレッジ(NZ) 40 − 8 ハートプリー カレッジ(イングラ
ンド)



■3・4位決定戦
セント ジョセフス ナッジー カレッジ(豪州) 20 − 7 ダニエル ピナール テク
ニカル ハイスクール(南アフリカ)



■5・6位決定戦
御所実(奈良) 26 − 21 東福岡(福岡)



■7・8位決定戦
東海大仰星(大阪) 36 − 5 常翔学園(大阪)



■9・10位決定戦
アール マリオット セカンダリー スクール(カナダ) 31 − 29 長崎南山(長崎



■11・12位決定戦
佐賀工(佐賀) 28 − 24 茗溪学園(茨城)



■13・14位決定戦
エニセイ−STM(ロシア) 34 − 3 リセ A.R. レサージ(フランス)



■15・16位決定戦
國學院久我山(東京) 64 − 14 ぺクシン ハイスクール(韓国)


 

PICK UP