常翔、御所実、仰星、東福岡がワールドユース8強入り 打倒海外勢だ!
(闘志むき出しのフルタイム50分。常翔学園×長崎南山)
福岡・グローバルアリーナで熱戦が繰り広げられている「サニックス 2013 ワールドラグビーユース交流大会」は5月1日までに予選リーグの全試合が終了し、ベスト8が出揃った。大会2日目に1〜8位決定トーナメント進出を決めていた海外勢4チーム、セント ジョセフス ナッジー カレッジ(オーストラリア)、セント ケンティガン カレッジ(ニュージーランド)、ダニエル ピナール テクニカル ハイスクール(南アフリカ)、ハートプリー カレッジ(イングランド)は予選最後の試合も圧勝し、プール戦3勝0敗で1位通過。観戦者の間で、「この大会史上、最強なのでは?」という声も聞こえるほど絶好調のイングランドチームは、117−0でカナダのアール マリオット セカンダリー スクールをねじ伏せている。
準々決勝に進める残り4枠をめぐっては、国内勢同士が火花を散らした。勝って8強入りしたのは、昨年度の全国高校大会で優勝した常翔学園(大阪)、同大会準優勝の御所実(奈良)、王座奪還に燃える東福岡(福岡)、そして今春の全国高校選抜で準優勝した東海大仰星(大阪)だった。
【常翔学園 26−12 長崎南山】
センバツ準々決勝で常翔学園に31−34で敗れた南山はリベンジに燃えていた。ともに強気の姿勢で、接点でも激しいファイトを繰り広げる。
序盤、南山がポスト正面でPGチャンスをつかんだが、強風の影響で外してしまう。ならばと、その数分後にゴールへ迫ったが、常翔学園FWがブレイクダウンでターンオーバーし、ピンチを脱出した。
そして前半13分、常翔学園がゴール前でタップキックからの速攻を仕掛け、FL吉國貴一が先制トライ。対する南山もその3分後、ペナルティからの速攻でSH深田昂輝が鋭く切り込み、インゴールに入った。しかし大阪の若人は21分、FWがボールをもぎ取り、左への展開からWTB山本貫太が大きくゲイン、その後よくつないでNO8倉本吏哉が5点を追加した。
12−7とリードして後半を迎えた常翔学園は、スピードと鮮やかなステップワークを見せたWTB山本、パントキックを巧みに使ったCTB南翔太の活躍で差を広げる。南山は終盤に1本返したが、反撃はそこまで。
常翔学園の野上友一監督は「いいゲームでした。春シーズンにおいて、両チームとも自分たちの狙いを一生懸命出し合った感じですね。リベンジさせないぞ、という気迫を持ってこちらも臨みましたが、強いですよね、南山。(常翔学園は)FWがいいファイトをしてボールをとってくれて、BKもよく走った。相手の力を出させないように、FWでまず乗り越えていこうと。その辺がうまいこといったですね。でもアタックに関しては、もう1本くらいトライを取っとかなアカンね」とコメントした。
一方、敗れた長崎南山のNO8岩永健太郎キャプテンは「センバツで対戦したときよりも点差は離れましたけど、内容は良かったと思います。でも後半、攻め込んでラインアウトのチャンスがあったときに、自分がミスをしてしまった。そこが勝敗を分けたポイントかなと…。チーム全体としても、いい流れのときにパスミスやハンドリングエラーをしてテンポを作れない場面があった。ちょっとしたミスが大きなことにつながるので、しっかり反省します。力をつけて、長崎県予選を勝ち抜いて花園に出場して、また常翔学園と当たることがあれば、三度目の正直じゃないですけど、絶対に勝ちたいです」と成長を誓った。
【御所実 29−22 佐賀工】
先制したのは佐賀工。前半19分、ゴール前で得たペナルティからタップ&ゴーでPR田中僚が防御網を突き破った。先にリズムをつかんだ佐賀工はプレッシャーがけも激しく、試合をコントロールしていたが、前半終了間際、御所実のWTB坂本英人が鋭いステップで22メートル内に入り、すばやく左へ展開、NO8池幡一生がトライを挙げ、5−7として折り返す。
そして後半早々、御所実はラインアウトからSO井上大規の内返しでFB竹山晃暉が飛び込み、逆転で流れを変えた。奈良の雄は、5分、10分、13分とすばやく大きく回して3連続トライ。佐賀工は終盤、FWのパワープレーで2本返したが、逆転には至らなかった。
強力FWは存在感を示した佐賀工だが、相手の高速展開ラグビーについていけない場面が何度かあり、枝吉巨樹監督は「1対1でも抜かれないようにディフェンスをしっかり鍛え直したい。前半終了間際にトライを許したのがもったいなかった。あそこで止められれば、シーソーゲームを制すことができたかもしれない。アタックも大事ですけど、ディフェンスをもっと頑張らんといかん」と課題を口にした。
【東福岡 52−17 國學院久我山】
東福岡が序盤から躍動した。前半3分、ゴール前ラックからのサイド攻撃でFL占部航典が飛び込み先制。2分後に久我山のHO古田雄也がパワフルな突進からトライを決め、同点となったが、ヒガシは後半6分までにさらに6度もゴールラインを越えるトライラッシュ。FWは接点で力強く、全選手がよく走った。
「東福岡さんは当たりも強くスピードもあって、ポジショニングが悪いと全部持っていかれた」と竹内伸光監督が言うように、苦戦して大差をつけられ國學院久我山だが、その後は勇敢なタックルで光を放った。パワフルに突進してくる相手に対して真正面から何度もぶつかり、「バツン、バツン」と肉体の激しくぶつかる音が観衆にも届いて、拍手が起こった。敗れはしたものの、久我山の選手たちは確かに不屈の精神を示した。
【東海大仰星 38−17 茗溪学園】
序盤から走りまくった茗溪学園。前半3分、敵陣深くに侵入し、ゴール右を攻めたがノックオンでチャンスをつぶした。すると約2分後、東海大仰星が自陣から左へ展開し、WTB河野翼が緩急をつけた走りでディフェンダーを抜き去り、先制する。茗溪はその後、ゴール前に迫った相手FWのパワープレーに対し粘り強く応戦していたが、走力を生かした仰星のスピードラグビーに15分、22分と穴を開けられ、19−3で前半を終了した。
追う茗溪は後半8分、FWの奮闘のあと、右へ展開してCTB内田元がトライを決め、点差を縮めた。流れが変わるかに思われたが、その3分後、仰星はテンポよく攻め、WTB松井匠が鋭角に内へ切り込んで突き破り、再びリードを広げた。激しい攻防により、茗溪に少し疲れが出始めたか、14分、18分と仰星がFWで2トライを追加。再び奮い立ち、試合終了直前に ボールを回して意地を見せた茗溪学園だったが、激闘を制したのは東海大仰星だった。
勝った湯浅大智監督は、「ゲームを作っていくことに関してはまだまだ勉強することがある。アタックで速さを出せた部分はあると思うが、自分たちの形にこだわりすぎる面があった。今日は25分ハーフの試合だったが、そのなかでいかにコントロールするかを勉強すべきで、だからこそまだまだ伸びると思っています。ディフェンスに関しても、地域的なものを考慮したり、相手の特徴や流れなどをゲームのなかでつかみながら、もう少し工夫して、修正力を身につけていかなければならないと感じました」と試合を振り返った。
本日、5月2日からはトーナメント戦に突入する。対戦カードは以下のとおり。
<1位〜8位決定トーナメント 1回戦カード>
・セント ジョセフス ナッジー カレッジ(オーストラリア) vs. 常翔学園(大阪)
・セント ケンティガン カレッジ(ニュージーランド) vs. 御所実(奈良)
・ダニエル ピナール テクニカル ハイスクール(南アフリカ) vs. 東海大仰星(大阪)
・ハートプリー カレッジ(イングランド) vs. 東福岡(福岡)
<9位〜16位決定トーナメント 1回戦カード>
・國學院久我山(東京) vs. アール マリオット セカンダリー スクール(カナダ)
・茗溪学園(茨城) vs. リセ A.R. レサージ(フランス)
・佐賀工(佐賀) vs. エニセイ−STM(ロシア)
・長崎南山(長崎) vs. ぺクシン ハイスクール(韓国)
<サニックス 2013 ワールドラグビーユース交流大会 予選リーグ結果>