海外 2011.08.29

アフリカ人による人種差別騒動は鎮火 ラグビーで勝負だ!

アフリカ人による人種差別騒動は鎮火 ラグビーで勝負だ!

 アフリカ出身の3人が、ヨーロッパで人種差別騒動のボヤを起こした。渦中の人は、ノーサンプトン・セインツ(イングランド)のPRブライアン・ムジャティ。ジンバブエ出身の怪力黒人選手。2009年に海を渡るまで、南アフリカでプレーしていた。いまやノーサンプトンの主力。昨季プレミアシップの優秀選手にノミネートされた1人だ。そんな彼に対して牙をむいたのが、南アフリカ出身の白人選手2人、レンスター(アイルランド)のPRハインケ・ファンデルメルヴァとLOスティーヴン・サイクス。3人はほぼ同年代であり、南ア時代から知った仲である。


 


 ことの発端は、ムジャティのツイッターでのつぶやきだった。26日に彼らが所属するチーム同士で練習試合を行った際、スクラム時にムジャティはレンスターの2人から「baboon」と呼ばれたことを暴露した。日本語で、動物のヒヒ。醜い人、という意味もあり、ヨーロッパでは差別語として使う者もいる。



 実は、ムジャティとファンデルメルヴァはライオンズ(南アフリカ)時代のチームメートであり、フロントローのよきライバルだった。そして、南アフリカ代表デビューはファンデルメルヴァが半年早かったものの、出場は1試合のみに終わり、のちに頭角を現したムジャティは12キャップを獲得した。黒人優遇政策のせいで2人には溝が生まれた、との声もある。
 ムジャティはよほど悔しかったのか、練習試合後の握手時に、元チームメートに対し汚い4文字を言い返したことも明かした。


 


 つぶやきは一気に公のニュースとなり、レンスターはただちに調査を開始。結局、ファンデルメルヴァとサイクスは誤解であることを主張したため、28日にチームはノーサンプトンと同意の上、事態の収束を発表。今週末のシーズン開幕に向かって、両クラブは集中することで一致した。


 ムジャティは問題となったツイッター文を削除。真相は闇となった。


 


 だからこそ、ファンはグラウンド上での勝負を期待する。スクラムで、決着を見てみたい。ノーサンプトンとレンスターは戦うリーグが違うため、3人が激突するのはハイネケンカップ(欧州最強クラブ決定戦)だ。奇しくも、両チームは昨季ハイネケンカップ決勝で対戦しており、レンスターが勝利の美酒に酔った。今季、再戦が実現し、激闘後にガッチリ握手ができれば、雪解けへの第一歩となる。


 


 彼らのラグビーパフォーマンスにもぜひ注目を。
 PRムジャティが所属するノーサンプトンは9月4日、プレミアシップ初戦でグロスターと対戦する。そして、PRファンデルメルヴァとLOサイクスが所属するレンスターは9月2日、ラボダイレクト・プロ12(前マグナーズリーグ)開幕戦でオスプリーズに挑む。


 

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