開幕直前!トップイースト監督コーチ座談会(後編)。ヤクルト、東京ガス、セコム、横河、秋田編
ジャパンラグビートップイーストリーグの2022年シーズンがまもなく開幕する。
リーグワンの開催は12月。社会人ラグビーファンなら秋のラグビーシーズンはトップイースト、トップウエスト、トップキュウシュウらの大会に関心をむけてみるのもいいだろう。
そこで、強豪大学チームを卒業した選手、リーグワンを引退した選手なども多く活躍するトップイーストリーグの監督、ヘッドコーチにお集まりいただき、各チームの戦力や互いのチームについての分析を座談会形式で伺った。
2回にわたってお届けする企画、後編となる今回は9月17日に第1節を迎えるトップイーストグループAの5チームだ。
文中各チーム一押しの選手紹介もあるので注目願いたい。
ホームゲームで要警戒の秋田。
オシャレなのか泥臭いのか東京ガスの実力は?
司会(ライター鈴木、以下司会):今日はお集まりいただきありがとうございます。トップイーストAグループも9月17日から開幕となるわけですが、第1節で対戦する相手に対して、どんなチームと分析しているのか、相手チームの言い分もあると思いますが、喧嘩にならない程度に(笑)対談してみたいと思います。まずは初戦の相手について印象をお聞かせください。
ヤクルトレビンズ 高安勇太朗監督(以下ヤクルト):秋田ノーザンブレッツとは昨年対戦がなかったので、不気味な存在だと感じています。特に初戦は秋田のホームゲームです。ホームの秋田は本当に同じチームかというくらい強い。セコムさんも春に対戦していますし、外国人の情報とか、今日教えてください(笑)。
秋田ノーザンブレッツ 古屋亮太GM(以下秋田):ヤクルトさんはパワーとスピード、とてもフィジカルが強い印象です。
ヤクルト:いやいや、パワーは間違いなく秋田さんのほうがありますよ。2メートルのLOとかいますし、パワー対スピードになるんじゃないですかね。
秋田:試合中はちっちゃくなっているんで(笑)。
ヤクルト:じゃあぜひうちの試合もその感じで。
セコムラガッツ スコット・ピアスHC(以下セコム):去年2か月くらい秋田でコーチをしていたんです。コナー・ウィホンギ、カーティス・リード、モセセ・セキベタ、どれも強い選手。ベストメンバーなら本当に強い。まあ、秋田は涼しいけど東京は暑いから、そこがチャンスかな(笑)。
(秋田戦でセコムは)ハイテンポなゲームをやろうと思っています。ボールをキープしていけばサイズのある相手にもプレッシャーをかけられると思います。
司会:横河さんは東京ガスとです。どうみておられますか?
横河武蔵野アトラスターズ 深堀俊也敏也監督(以下横河):中瀬監督とは現役の頃からずっとやっているんで、やっぱりオシャレなラグビーをされるんじゃないかと思います。ボールを動かしてくると思うので、そういうプレーをやりあえればと思います。今年外国人が沢山入っているんで、どんな感じか教えてください。
東京ガス 中瀬真広監督(以下東京ガス):いや、全然オシャレじゃないです、泥臭くいきますので(笑)。春のトーナメントでは(横河に)普通に負けてしまった。その時の印象は一体感があるなと思いました。コンタクトエリアで一人ひとりが激しいというのは横河さんの伝統ですね。春はセコムさんにもいいようにやられましたし、あくまでもチャレンジャーとして臨みたいと思います。
司会:いや、東京ガスさんの実力はみなさんわかっていますから、そんなことでは誰も油断しませんよ(笑)。
では、次に「ウチのチームのこのプレーをみてほしい」のフリップを見せてください。
秋田さんから説明してください。
各チームの目指すラグビーとは?
パワー勝負の横河。
ひたむきなディフェンスのヤクルト。
規律のセコム
ヤクルト:クイックアタッキングラグビー、ひたむきなディフェンス、です。まず攻撃では、日本人選手は決して大きくないので、早いテンポでボールを動かす見ていて楽しいラグビーを目指したいです。各チームコンタクトエリア、ディフェンスが強いと思いますので、それに負けないタックルにプライドを賭けて他の4チームと勝負したいと思います。<写真①②>
東京ガス:『Attacking!!』です。今年のテーマでもあり、果敢に攻めるということです。チームが若返ったので、積極性を大事にチームを作ってきました。ディフェンスもアタックの一環だという気持ちですので、そういうプレーに注目してもらいたいです。<写真③④>
セコム:規律だと思っています。サイズはウチはそんなにない。でも規律が守れればポジションはキープできる、そうなればスピードコントロールができる、ここがポイント。若い選手が多いけれど、それができればいい試合にできるでしょう。<写真⑤⑥>
横河:パワーです。どこもスピード系でくると思うので、先ほど東京ガスさんが泥臭くって言っていましたけど、その通りで、FWで戦えるゲームにしたいと思っています。<写真⑦⑧>
秋田:『Expansive Game』ということで、グラウンドを広く使ったゲームを目指しています。<写真⑨⑩>
司会:いやー、今からバチバチ音が聞こえてきそうで、対戦が楽しみになってきました。
ところで、トップイーストは昨年から5チームずつのホーム&アウェー方式です。この方式で難しい点はなんでしょうか。実力伯仲の相手同士なので、常にベストメンバーでなければならないなどありますか。
東京ガス:ベストメンバーでいくためにも怪我人を出せない。これが大学みたいに100人も部員がいたらどうにかなるのでしょうが、そうはいかない。結局選手層を厚くしないとならないので、若手に経験を積ませる方法も考えなければならない。このあたりは難しいですね。
司会:選手目線だとトップイーストだと出場は多そうですね。
社会人ラグビーとして他にトップイーストの魅力ってなんでしょうか?
各チーム指導者に聞く
トップイーストリーグの魅力とは?
地域密着、社会貢献、「会いに行けるラガーマン」
横河:やっぱり、普通に働いているサラリーマンが試合に出ていることじゃないですかね。
東京ガス:会社の人が応援にきてくれると、より力を発揮するところはあります。
ヤクルト:ウチなんか、トラックに乗って自販機に納品に行っているメンバーもいて、やたらでっかい奴が納品に伺って迷惑なんじゃないかと(笑)。
横河:秋田さんなんか、地域密着のクラブチームでやっておられます。トップイーストでありながら、逆にリーグワンの目指すところをすでに先んじているのではないかと。
秋田:はい、地域密着はもうポテンシャルしかないという感じで、地元経済界にも支えられて、市役所にもOBがいますので、うまく回っています。
横河:ウチもクラブチーム化して、ちょっとチームの一体感が薄れた危機感があったんですね。そこで何を目指すのかということを考え直したら、地域ボランティアなどをやろうとなったんです。ラグビー選手は熱いものをもっていて、誰かの役に立ちたいという気持ちが強いんですね。
【座談会を終えて】
働きながらの競技生活だが、リーグワンにも引けを取らない熱量の高さが伝わってきた座談会であった。5チームがそれぞれカラーのはっきりしたチームに仕上げてきている。ここに挙げた戦術通りに試合を展開できるのかそんな点も見どころになりそうだ。
取材後、セコムの名物スタッフY氏が「どこかのアイドルグループみたいに『会いにいけるラガーマン』がトップイーストなんですよ」と言った言葉が印象的だった。