各国代表 2022.09.16

3年ぶり豪代表復帰のフォーリーが勝利目前で痛恨の反則 伝統対決はNZが劇的な逆転勝ち

[ 編集部 ]
3年ぶり豪代表復帰のフォーリーが勝利目前で痛恨の反則 伝統対決はNZが劇的な逆転勝ち
最後のドラマで歓喜したオールブラックス、落胆のワラビーズ(Photo: Getty Images)


 90年の伝統がある「ブレディスローカップ」をかけたライバル対決、オーストラリア代表“ワラビーズ”対ニュージーランド代表“オールブラックス”の試合が、9月15日にメルボルンのマーヴェル・スタジアムでおこなわれ、ニュージーランドが最後のプレーで逆転トライを挙げ、39-37で激闘を制し、20年連続でブレディスローカップを保持することになった。

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 ザ・ラグビーチャンピオンシップ(南半球4か国対抗戦)の第5節を兼ねて同大会の優勝争いにも影響するこの試合。前半は、ニュージーランドのCTBリーコ・イオアネが懸命のタックルで相手のトライを阻止すれば、オーストラリアの9番をつけたジェイク・ゴードンも体を張ってインゴールにグラウンディングさせないなど、両チームともディフェンスに粘りがあり、10-10で折り返した。

 しかし、ハーフタイム前後にオーストラリアは規律を乱して3人がイエローカードを提示され、数的有利を活かして得点を重ねたニュージーランドが60分(後半20分)の時点で18点リードしていた。

 このまま黒衣軍が勢いに乗り、一方的な展開になることも考えられた。が、ゴールドジャージーの10番をつけたバーナード・フォーリーが流れを変えた。
 2試合シリーズの初戦を制して2002年以来の伝統杯奪還に望みをつなげたいオーストラリアは、エースのクウェイド・クーパーがアキレス腱断裂で離脱となり、ジェームズ・オコナー、ノア・ロレシオといった2番手、3番手のスタンドオフも負傷でプレーできず、3年ぶりに招集され代表復帰となったフォーリーがこの試合の司令塔を任されていた。2019年のワールドカップ後、日本リーグに参戦し、クボタスピアーズ船橋・東京ベイでのプレーに専念していた33歳のベテランは、ワラビーズのSOSコールに応え、この大勝負で奮闘した。

 安定したプレーメイクとゴールキックを見せていたフォーリーは、13-31で迎えた61分、果敢なランでディフェンスに切り込み、オフロードでFBアンドリュー・ケラウェイにつなぎ、トライを演出した。

 オーストラリアは67分にも敵陣深くに入り、ラインアウトモールからボールを動かし、フォーリーが正確なパスでケラウェイの連続トライをアシスト。ゴールキックも成功で、4点差に詰めた。

 その後、ニュージーランドがペナルティゴール(PG)で7点差としたが、活気づいていたオーストラリアは73分、大外にいたFLピート・サムがタックラーを振り切って駆け上がり、サポートについたWTBマリカ・コロインベテとパスを交換してトライ。「アイスマン」の異名を持つ落ち着いたフォーリーが難しい位置からのコンバージョンを決め、34-34の同点に追いついた。

 そして、76分にゴールドジャージーの8番をつけたロブ・ヴァレティニがブレイクダウンで相手の反則を引き出し、ロングキッカーのSHニック・ホワイトが約50メートルのPGを決め、オーストラリアが勝ち越しに成功した。

 リスタート後まもなく、オーストラリアに反則があり、ニュージーランドはショットを狙わずトライを狙いにいき、ラインアウトからモールでドライブを試みたが、オーストラリアが踏ん張り、CTBララカイ・フォケティがブレイクダウンでターンオーバー。残り時間1分となり、ピンチを脱出したオーストラリアは勝利が見えていた。

試合終了間際、フォーリー(10番)の反則について説明するレイナル レフリー(Photo: Getty Images)

 しかし、その直後、ボールを手にしたフォーリーがなかなかリスタートせず、再三注意していたマチュー・レイナル レフリーはフォーリーが故意に時間を浪費したとして反則と判断。のちに物議を醸すこととなるジャッジで、ニュージーランドボールのスクラムとなり、ゴール前でアタックチャンスとなった黒衣軍はサイレンが鳴るなかアドバンテージを得て攻め続け、中央から右にボールを動かしてFBジョーディー・バレットが逆転トライを決め、劇的な結末となった。

ライバル対決を制してブレディスローカップを防衛したニュージーランド(Photo: Getty Images)

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