規律への意識もパワーも高まり、好パフォーマンス。テビタ・タタフ[日本代表NO8]
ワールドクラスの突破力を見せたのは前半14分だった。
7月2日におこなわれたフランス代表との第1テストマッチ(豊田)。日本代表のNO8テビタ・タタフ(東京サンゴリアス)は相手インゴールに飛び込んだ。
3-7から8-7と、スコアをひっくり返すトライだった(ゴールキックも決まり10-7に)。
フェーズを重ね、仲間がトライライン近くまで運んだボールだった。
SH茂野海人からのパスを受けたタタフは、待ち構えるディフェンスの壁に飛び込む。
ファーストタックラーを外へのステップでかわし、ヨラム・モエファナのタックルを弾き飛ばしてボールをインゴールに叩きつけた。
そのシーンを「(仲間の)サポートもあったので抜けた」と振り返るタタフは、世界ランキング2位の強豪相手に自分のパワーが通用したことを喜ぶ。
「自分の強みを出せました。しっかり体を張っていこうと思っていました」
対戦相手のLOトマ・ジョルメスは試合から3日後におこなわれた記者会見で、日本代表で印象に残った選手の一人としてタタフの名前を挙げた。
「強かった。7番(ベン・ガンター)の選手もタフな相手でした」
2022年のリーグワンではプレーオフも含め11試合(レギュラーシーズン10試合)に出場したタタフ。しかし、1月30日のブラックラムズ東京戦の危険なプレーで受けたレッドカードにより、複数試合の出場停止処分を受けた(当初5試合の出場停止予定も4試合に軽減)。
そんな背景もあり、ジェイミー・ジョセフ日本代表ヘッドコーチにプレータイム不足の指摘と、フィットネス向上の指示を受けた。
この春の代表活動がナショナル・デベロップメント・スコッドからのスタートとなったのは、そのためだった。
厳しいトレーニングで鍛えられ、トンガサムライフィフティーン戦、ウルグアイ代表との第1テストマッチの両試合にフル出場して高いパフォーマンスを見せると(それぞれの試合でトライを奪う)、日本代表スコッドに招集される。
フランス代表との第1テストマッチでの活躍は、代表首脳陣の描いたプロセスをしっかりと歩んだ先にあったものだった。
レッドカードを受けた後は、コンタクトシーンで躊躇する感覚を持ってしまったと話すが、その時期を乗り越えた後は、ディシプリンを保ちつつ激しくプレーする。
現在127キロ。ハードなトレーニング環境下に身を置いて、「リーグワンのときよりコンディションはいい状態」と照れ笑いを見せた。
フランスとの初戦を振り返り、「もっとテンポを上げたかったところでミスが出てしまった」と話す。
第2テストマッチに向け、「スペースを見つけて、もっと走る」と誓う。
相手もマークを強めてくるだろう。
その中で結果を残し、層の厚いFW第3列の中で首脳陣の信頼を確固たるものにしたい。