ピンチに動じない。スピアーズ、1敗同士だったイーグルスに快勝。S東京ベイ 50-21 横浜E
不戦勝を含め3勝1敗同士。好試合の期待された対戦は、後半に流れが傾き大差に終わった。
2月6日、神奈川・ニッパツ三ツ沢球技場。リーグワン・ディビジョン1の第5節があり、昨季のトップリーグで初の4強入りを果たしたクボタスピアーズ船橋・東京ベイが、同8強の横浜キヤノンイーグルスを50-21で下す。
前半はイーグルスがアンストラクチャーからの攻めを機能させ、2トライを奪取。かたやスピアーズでは、SOのバーナード・フォーリーのペナルティーゴールを2度失敗させて足踏みの感を覗かせた。
しかし時間を追うごとに、持てる力をスコアボードに反映させる。
14-14と同点で迎えた前半39分頃には、イーグルスのNO8アマナキ・レレイ・マフィが速攻を仕掛けると同時にキック。スピアーズはそのボールを自陣中盤左で捕り、展開する。
自陣10メートル線付近右で接点を作ると、SHの谷口和洋がショートサイド(狭い区画)へ仕掛ける。FBのゲラード・ファンデンヒーファーとのパス交換を重ね、ファンデンヒーファーのフィニッシュを促した。
直後のコンバージョン成功で、スピアーズは21-14とリードしてハーフタイムを迎えた。
後半は蹴り合いでも魅せる。10分にHOのマルコム・マークスがトライラインを割ったきっかけは、その約4分前にCTBの立川理道主将が放ったキックだ。
ハーフ線を境に陣地を取り合う流れのなか、イーグルスのSOの田村優主将がスピアーズの防御の裏へグラバーキックを転がす。
しかし対するフォーリーが、首尾よく戻って球を抑える。自陣10メートル線付近右中間でパスを放つと、受け手の立川が迷わず前方へ足を振った。ボールは敵陣22メートルエリアへ弾み、タッチラインの外へ出た。
スピアーズは現行ルールに伴い、自軍ボールのラインアウトを獲得する。身長205㌢のLO、ルアン・ボタら、巨漢の推進力を活かしやすくなった。
「あの場面は相手のショートキックの後でしたが、あのようなトランジション(攻守の切り替え)のところではチャンスがあると思っていました。キック(自体)はあまりよくなかったのですが、うまく転がってくれた」
立川が自らの一撃を振り返る傍ら、田邉淳アシスタントコーチは「イーグルスさんは、田村選手を中心にディフェンスの裏に蹴るショートキックを多く使っていた。そこからの(攻守の)切り替えをチャンスに変える。それをマスターすれば、我々の展開になると信じていました」。この場面ではトライとコンバージョンの成功により、28-14と点差をつける。
続く14分には、グラウンド中盤左に放たれたハイパントをフォーリーがキャッチ。無人のスペースをランとキックで侵略し、WTBの金秀隆に止めを刺させた。33-14と流れを決定づけた。
この日はフラン・ルディケが不在だったが、田邉はクラブとしてのタフさを誇った。
「PCR検査の結果が出るまで(試合の)メンバーを構成できない難しさもありましたが、最新のテクノロジーをうまく使いながら(前節まで)休んでいた選手とも常にコネクトしてきた。事前にコーチ陣同士がzoomで打ち合わせして、選手に落とし込みを。今日はラインを使いながら、コーチボックス、給水係で連携を取りながらやっていました」
終盤はイーグルスの防御が乱れる場面もあり、後半19分にイエローカードをもらった田村は「僕も、ですし、皆、個人個人に、責任があると思うので、修正するしかないです」と語る。
「今年は(昨季大敗した相手から白星を得るなど)順調にいい試合を続けていましたけど、自分たちは100パーセントでベストなゲームを繰り返さないと、勝つ力はないです。自分たちの力には自信はあって、悲観もしていないですけど、毎試合、ベストなパフォーマンスを出せるよう準備するのが大事です」
就任2季目でチームを成長させる沢木敬介監督も、潔かった。