コラム 2022.01.27

【コラム】出航の風景。リーグワン開幕に見えた意志、驚き、地域と世界。

[ 直江光信 ]
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【コラム】出航の風景。リーグワン開幕に見えた意志、驚き、地域と世界。
渋谷凪咲らNMB48が会場を盛り上げる。写真RH大阪(旧NTTドコモ)vs BR東京(旧リコー)より(撮影:毛受亮介)

 1月9日、大阪・長居。ヨドコウ桜スタジアムにレッドハリケーンズとブラックラムズの意志を見た。一発一発のコンタクトの音、カバー防御へ駆け戻る一人ひとりの荒い息づかいに強い使命感が立ちのぼる。この一戦を、絶対にただの一戦では終わらせないという意志。レッドハリケーンズの司令塔、SOエルトン・ヤンチースの痛恨の負傷退場で最終スコアは開いたものの、気迫みなぎる80分は見応えがあった。

 翌週日曜の16日は、東京・調布の味の素スタジアムでサンゴリアスの圧巻の攻守にうならされた。15人が誰ひとり目の前のバトルをおろそかにせず、あらゆる局面で仕掛ける姿勢を貫く。そのうえFBダミアン・マッケンジーやCTBサム・ケレビ、 NO8ショーン・マクマーンといった世界でも指折りのアタッカーが要所でスペシャルな才を発揮するのだから、1か月以上実戦から離れていたヴェルブリッツが大敗を喫するのもしかたなかった。ホーンが鳴ったあとのラストプレー、すでに勝負は決していたのに試合を終わらせず、トライを取りにいって取り切ったシーンに、チームの凄みが凝縮されていた。

 生まれ変わった国内最高峰リーグ、「ジャパンラグビー リーグワン」がおもしろい。国立競技場で華やかに幕を開けるはずだったオープニングマッチをはじめいくつもの試合が中止になり、止まらぬオミクロン株の感染拡大でますます先行き不透明な状況は続く。それでも現地で、あるいは中継映像を通して観戦したゲームに心を動かされた。日本ラグビーの新時代の到来を感じるシーンが、そこここにあった。

 3つのディビジョン分けに各チームの努力が重なって、カレンダーには毎節魅力的なカードが並ぶ。どちらが勝つかわからない緊迫感こそはスポーツの醍醐味だ。そして拮抗したゲームが増えることで、リーグの熱気は高まる。スケジュールを眺めあれこれとイメージをふくらませながら、キックオフ48時間前のメンバー発表を待つ時間が楽しい。

 ホストチーム仕様にラッピングされたスタジアム。ラグビー体験企画やフードコーナー、グッズ販売のブース。開始前のピッチ上での実演ルール解説。そんなところにも各クラブの意気込みはにじむ。足を運んでくれたファンに、いかに次の試合にも来たいと思ってもらうか。さまざまな制約がある中、おのおのがそれぞれのやり方で懸命の努力を続ける姿に、頭の下がる思いだった。

会場に街に、フィールドに。今まではなかったリーグワンらしさが出た序盤戦(1月9日 大阪・長居/撮影:毛受亮介)

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