海外 2022.01.26

前節7-89と歴史的大敗のモンペリエが強豪・エクセターに競り勝つ。

[ 福本美由紀 ]
前節7-89と歴史的大敗のモンペリエが強豪・エクセターに競り勝つ。
モンペリエを率いるフィリップ・サンタンドレHC。(Getty Images)



 欧州チャンピオンズカップ予選プール戦は予定されていた48試合のうち11試合が中止になり、新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受けた。
 少ない日程で実現できるように、2つのプールに分かれ、それぞれが2チームとホーム&アウェーで戦い、各プールの勝ち点上位8チームが決勝トーナメントへ進出するという形式が取られている。それでも、4試合すべてをプレーできたのは24チーム中7チームだけだった。

 その最終ラウンド、前節チーム内に感染者が多数発生して主力を大きく欠いたチームでアイルランドのレンスターに7-89の大敗を喫したモンペリエが、1月23日、強豪のイングランドのエクセターとの接戦を勝ち切り決勝トーナメント進出をもぎ取った(37-26)。開始から速いテンポで強度も高い見応えのある試合だった。

 エクセターは、イングランド代表のNO.8サム・シモンズがゴール前でボールを持つたびにモンペリエ防御を跳ね除けてトライを決めパワーを見せつけた。
 対するモンペリエは、カマラ、ヴィレムセ、アウアス、マーサーら、主力が復帰したFWが接点で競り勝つ。ディフェンスも粘り強く、チャンスを確実に得点につなげる攻撃で前半だけで3トライを奪った。「前半終盤はゲームプランから外れてしまったが、後半はシンプルにプレーすることに徹した」とLOポール・ヴィレムセ。

 終盤には戦列復帰した南アフリカ代表SHコーバス・ライナーが自陣ゴール前でインターセプトから80メートルを走り切る。同じく復帰したばかりのイタリア代表SOパオロ・ガルビシがコンバージョンキックを成功させて37-26とし、ホームのサポーターの前で勝利した。

「先週は18人の選手が感染していて難しい状況の中、不戦敗を避けるためにできることはすべておこなった。相手は11月にオールブラックスを倒したアイルランド代表の選手が13人もいるチームで、厳しい結果になってしまった。その試合のビデオをみんなでレビューし話し合った。ここから立ち直るためには、頭を上げて練習して、日曜(エクセター戦の日)にいい試合をするしかない。この試合に勝てば決勝トーナメントのチャンスも生まれる。すべてを懸ける」
 フィリップ・サンタンドレHCは、試合前にそう話していた。

「しかし選手のコンディションには十分に注意しなければならない。感染した選手の症状は様々で、無症状の選手もいれば、発症した選手もいる。回復しても感染前より怪我をしやすくなっている選手もいる」と加えた。

 この日のスターティングメンバー15人のうち10人が最後に試合をしたのは12月27日。「80分続くのか心配だった」と漏らしていたヴィレムセだったが、その不安も吹き飛ばすような働きぶりだった。

「先週の試合(レンスター戦)は、出ていた選手だけの負けじゃない、クラブ全体の敗北だ。悔しくて仕方なかった。今日は本当のモンペリエを見せることができた。チームとスタッフを誇りに思う。この試合はチームにとって大きな自信になる。」とヴィレムセはこの日の勝利の大切さを噛み締める。

 今季開幕早々、ギレム・ギラド、ブノワ・パイヨーグ、アルチュール・ヴァンサンとキャプテンを務める選手が次々と負傷してリーダー不在の状態が続いた。
 しかし、この試合でゲームキャプテンとしてチームをリードしたヤクバ・カマラ(スター・オブ・ザ・プレイヤーに選出)や、持ち前のパワーを生かしたプレーで味方を鼓舞したポール・ヴィレムセ、また常にプレーの中心にいてチームを前進させたヤン・サーフォンテインらの新しいリーダーが育ってきた。
 そこに若手も成長し、今季加入したパオロ・ガルビシやワラビーズのHOブランドン・パエンガ=アモサも噛み合ってきた。いいチームができてきた。

「この試合は結果よりも内容が大切だった。コロナで休止していたチームが再び始動するために、そしてようやく2022年をスタートさせるために」と言うサンタンドレHC。

 モンペリエの2022年がやっと始まった。

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