日本代表 2021.07.01

日本代表の名伯楽トニー・ブラウン語る。「プレッシャー下で自分たちのラグビーを」

[ 向 風見也 ]
日本代表の名伯楽トニー・ブラウン語る。「プレッシャー下で自分たちのラグビーを」
ライオンズ戦でアランウィン・ジョーンズ(中央)らにタックルされる坂手淳史(C)Getty Images


 ラグビー日本代表のトニー・ブラウン アシスタントコーチが日本時間の6月30日夜、オンライン会見に応じた。ジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチ率いるチームの名参謀は、現在の欧州遠征、2023年のワールドカップ・フランス大会をどう見ているのだろうか。

「(今回のツアーで)いちばん、大きなことは、日本のラグビースタイルを貫くこと。これまで4~5年かけて日本のラグビーを構築してきた。これから、テストマッチでのプレッシャー下で自分たちのラグビーをする。相手のフィジカリティに対抗しながら、自分たちの強みである速さ、スキルを使って、ボール・イン・タイム(ボールが動く時間)を長くとる」
 
 2016年秋から発足した現体制にあって、攻撃戦術やスキルの落とし込みに従事。ハイランダーズでもヘッドコーチ、アシスタントコーチの間柄だったジョセフとともに、2019年のワールドカップ日本大会で史上初の8強入りを達成した。

 アンストラクチャー(セットプレーを介さない)からの組織的なプレーが特徴的で、約1年8か月ぶりのテストマッチでもそのスタンスを貫きにかかる。

 6月26日、エディンバラのマレーフィールド。4年に一度組まれる連合軍のブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズに挑む。

 0-28とリードされて迎えた後半に攻めのテンポを上げたが、好機を逃した。10-28。通称「ブラウニー」はこう見た。

「たくさんのチャンスを作れた。そこはエキサイティングなことです。ただ、遂行力がなくトライを獲れなかった。遂行力とは、(戦術理解よりも)スキルベースのところでのものです。自分たちがチャンスをつかんだ時、ライオンズがものすごい圧力で必死に止めてきたところがありました。テストマッチでは、そういう時に(スコアを)獲り切ることが重要です」

 確かに、姿勢の高くなった走者がつかみ上げられたり、敵陣ゴール前で落球や被ターンオーバーに泣いたりしていた。7月3日には、ダブリンのアビバスタジアムでアイルランド代表とぶつかる。「自分たちのラグビーをやり切れたらいい結果が出せる」と、遂行力の高まりに期待する。

「我々はいい準備、正しい準備をしていく」

ライオンズ戦後の日本代表。後列左から2人目、キャップをかぶってるのがトニー・ブラウン(C)Getty Images

 アイルランド代表は日本大会で下した相手で、今度はブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズに主力を供出する。もっともブラウンは「アイルランド代表は強い。ホームゲームは85パーセント以上の確率で勝っている。ホームアドバンテージはある。自分たちにとってはチャレンジです」。ワールドカップ日本大会の前には世界ランク1位となったことのある欧州の雄とのバトル。難敵に挑む構図なのは確かかもしれない。

「アイルランド代表は現ヘッドコーチのアンディ・ファレルが、前までのジョー・シュミット ヘッドコーチからアタックスタイルを継承。クオリティの高い選手もいます。さらに、ディフェンスで成長しています。キックからのプレッシャーゲームも良くなっている。試合当日は、我々は我々のやろうとしていることをきちんとやる。アイルランド代表にはけが人が出ているが、そこをチャンスととらえ、準備できるか、です」

 チームは5月下旬から別府で合宿をおこない、6月中旬から欧州遠征を開始。次戦を終えると一時解散し、今年9月以降の再集合へ英気を養う見込みだ。

 視線の先にあるのは、2023年のワールドカップ。2大会連続での決勝トーナメント進出、およびそれ以上の成績を収めるには、選手層の拡大が急務とされる。

 日本代表は、2019年ワールドカップのプールステージで出番のなかった選手の数が5名と、8強入りしたチーム中最多だった。選手の疲労を抑えながら勝ち進むには、圧力下でチームスタイルを遂行できる選手の数を増やしたいところだろう。
 
 ブラウンは「(社会情勢により)約2年間ラグビーができなかったので、育成やそのためのテストをするのが難しい部分もあった。今後はもっと試合を重ね、若い選手たちにプレッシャー下でプレーさせ、育成していきたい」とし、こうも語った。

「彼らに求めるものはスタンダードを上げてもらいたい、ということ。テストラグビーはレベルが高い。2023年へは10倍以上に上げる必要がある。フィットネス、コリジョンをインターナショナルレベルに上げてもらうことが必要です」

 今度のアイルランド代表戦は、現時点での「スタンダード」を測ったり、これから代表入りを目指す選手に諸事の「スタンダード」を示したりする機会とも取れる。結果と内容の両方に注目されたい。

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