セブンズ 2013.03.31

勝ち方なら知っている。東京セブンズ優勝、ボクスの矜持。

勝ち方なら知っている。東京セブンズ優勝、ボクスの矜持。


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トライラインへ迫る7人制南ア代表セシル・アフリカ
(撮影:松本かおり)


 



 ポール・トゥルー ヘッドコーチは、自分たちのことを「大会の中でいちばん小さなチーム」と言って笑った。



 175cmのセシル・アフリカ、166cmのブランコ・デュプレア。そんなふたりがゲームメーカーを務めるグリーンの7人は、黒い壁を力で崩そうとしなかった。3月30日、31日と秩父宮ラグビー場で開かれた『TOKYO SEVENS 2013』は、南アフリカがカップトーナメントで優勝して幕を閉じた。アメリカ大会に続き強大なライバル、ニュージーランドを破っての美酒。逆転勝ちだった。



 立ち上がりから『ブリッツ・ボッカ』(チームの愛称)はトライラインに迫った。しかし、黒衣の戦士たちの壁は厚い。ギリギリのところで攻めきれず、逆にグイグイ攻められる。4分過ぎ、7分半にトライを奪われ、前半を0-12で終えた。



 そんな展開が、終わってみれば24-19。2日間に渡って行われた45試合目の最後に笑ったのは7人制ボクスだった。
 後半1分半過ぎ、PKからブランコ・デュプレアが仕掛け、シアベロ・シナトラ→コーナル・ヘンドリクスで崩し、シナトラがリターンをもらいインゴールに飛び込む。3分前には、ラックからのこぼれ球にセシル・アフリカがすばやく反応してトライ。これで逆転すると、6分にPG、9分半にヘンドリクスがキレのあるランニングで抜き去り勝負を決めた。フランキー・ホーン主将によると、「自分たちのやりたいことにこだわり続けた結果」だった。



 チームは初日の初戦でフィジーに12-29と完敗。トゥルーHCは、鈍い滑り出しとなった今大会の第一歩を「セブンズは、小さなチャンスを確実につかみ、勢いを出すのが大事なのに、あの試合はそれを相手にやられた」と振り返った。
「ファイナルも、前半はそうだったよね。でも後半は修正できた。それをやるには、メンタル面が大切。我々にはその準備があったということ。選手たちはよくやってくれた」



 20人の強化スコッドを組み、年間を通じてチームとして動き、鍛え、戦っている。
「このキャプテンのように要となる選手を軸に置き、自分たちのやりたいスタイルにあった選手を探し、育てる。私たちは大会に勝つためのスキルを考え、それを実践できる選手、理解できる者が集まっているんだ」
 2004年から現職に就くヘッドコーチの言葉には、『勝ち方なら知っている』の自負が浮かぶ。
 セブンズの世界は、加速的に進化している。その追いかけっこが、セブンズ・ワールドシリーズのおもしろさでもある。


 


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優勝後の会見で激闘を振り返る南アのホーン主将(右)とトゥルーHC
(撮影:松本かおり)


 

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