東京セブンズ 日本は2勝でシールド準優勝 疲労するなかスタイル信じ抜く
シールド決勝のカナダ戦でハンドオフを試みる四至本侑城
(撮影:松本かおり)
世界最高峰の国際7人制サーキット、セブンズワールドシリーズ(WS)の東京セブンズは31日、大会2日目が東京・秩父宮ラグビー場で行われた。接点を細かく作ってスペースに球を運ぶスタイルの日本代表は、シールドトーナメント準優勝に終わった。13、14位を決める同トーナメント決勝で、カナダ代表に14−27で敗れた。普段は戦う機会が少ないWS上位陣を相手に、瀬川智広ヘッドコーチ(HC)は「世界との差を把握した。新たなスタートラインを作らないといけない」と総括した。
大会1日目の30日は、予選プールCの最下位となった日本代表は、ウエールズ代表とのボウルトーナメント準々決勝の先発を従来と大きく入れ替え、パワーランナーのロテ・トゥキリやフィニッシャーの羽野一志を後半から投入。ポルトガル代表とのシールド準決勝とカナダ代表との同決勝では、突破役のジェイミー・ヘンリーをベンチスタートにした。桑水流裕策は「(2月下旬から3月上旬の)合宿で走り込んできたので、決勝で走れなくなることはなかったです」と語るも、瀬川HCは「実戦のプレッシャー、緊張感のなかで疲労がたまっていたのかなと思います。正直、空元気でした」。初日はニュージーランド、フランスなどと対戦。強豪を相手に、想定以上の肉体的疲労があったか。メンバーの入れ替えはそのためだと、指揮官は示唆した。
14−22で敗れたウエールズ代表戦後、瀬川HCは「スタイルを信じるということを、レベルアップさせないと」と呟いた。「短い時間で試合がある。やってきたことを信じるしかない」。球際に働きかけては反則を取られたが、「ちまちました修正をするよりは、前に出よう、と。ラグビーは前に出た方が勝ちなので」。レフリーへの対応に気を配る以前に、果敢なファイトを促した。3点ビハインドで迎えたポルトガル代表戦の後半4分、キックオフの球を確保した相手を桑水流がタックルで倒す。すぐ起き上がって頭をねじ込む。相手のパスアウトを乱し、坂井克行主将の勝ち越しトライを導いた。
「起き上がったらボールが見えた。パスしようとする選手がゆっくりだったので、行こう、と。レフリーによっては(反則を)取られることもある。でも、絶対勝ちたい試合だったし、それでペナルティーを取られるんであれば、次からそのプレーを止めればいいだけなので」
疲弊した面々は、瀬川HCのスタイルを信じ抜いた。勝負どころでの落球こそあれぶつかり合いで目立った桑水流は、「やりたいことが明確で、それを選手たちもやり切った」と語る。では、そのスタイルを格上相手に貫くために向上させる点は何か。 「やっていることへの精度を上げる」。ボール保持者が倒れる際は、いつでも前のめりに倒れて尻の下から球を出す「亀ラック」の体勢になる。それを味方が素早くサポートする。同時に、もう1人の仲間がパスアウトする。そんなチームにとっての基本プレーを、プレッシャーがかかるなかでも続けられるようにしたいという。
同じ問いに、指揮官は「ボールを運ぶ場所が単調だった」と今後の指針を示す。的確なスペースを攻めれば桑水流の話す「プレーの精度」は高められる、との意味か。さらに、こうも続けた。
「この1年、これまでと同じことをやっていれば(他国と)大きく差を広げられる。協会としても、強化の方向性を明確にしていく必要があると感じます」
3月22〜24日の香港セブンズ(香港スタジアム)では、来季のWSコアチーム(WSに常時出場できるチーム群)昇格に向けた予選大会の準々決勝でグルジア代表に0−17と敗れた。今季に続きコアチーム入りを逃した新シーズン、多くの国際大会への参加を求めている。
(文・向風見也)