コラム
2021.03.11
【コラム】「我慢し続けるな」
「鉄人」と呼ばれた男は、もう20年近く前に食べた妻の手料理の味やにおいを、今も明確に覚えている。
元木由記雄。日本代表キャップは79。W杯には4大会連続で出場した。責任感そのものを体現したプレー。神戸製鋼では数々のタイトルに貢献した。日本ラグビー界のレジェンドの一人だ。現在は、京都産業大ラグビー部のGMを務める。
そんな元木さんは、ある病気に苦しんだ過去がある。
パニック障害。
辞書をひけば、「不安神経症の一つ。突発的に強い不安感におそわれ、動悸、めまい、からだのしびれなどの発作が繰り返し起こる」とある。
最初に異変を感じたのは、職場での立ちくらみだった。イスから立った時にクラッとした。「おかしいな」とは思った。でも、練習ができないほどではなかった。