沖縄・読谷高校、九州大会で躍動! 新入部員ゼロが続いたのはほんの数年前。プロセスは「一歩ずつ」
2月22日の全九州新人大会2回戦、この日をもって大会は終了となる変則開催。九州から全国選抜へ5校の出場が決まった(東福岡、長崎北陽台、高鍋、佐賀工=以上2回戦勝者、大分東明=推薦による)。今年も感染防止対策のために影響を受け続ける高校ラグビーだが、困難の中で各チーム元気な姿を見せてくれている。
ラグリパ編集部の注目は沖縄1位で出場した読谷高校だ。
沖縄予選では、前回花園にも出場している名護を48-0の大差で破って九州の舞台へ。1回戦で長崎南山(長崎2位)戦を乗り越え、高鍋にチャレンジした。結果は高鍋36-19読谷で選抜決定はならず(全国選抜実行委員会推薦枠の望みはあり。近日発表)。しかし、今回の足取りには、高校ラグビー全体を勇気づける光がある。
「九州の中でも、長崎代表、福岡代表のチームというのは、どこと当たっても強く、意識する相手でした」
まず1回戦突破の喜びを語るのは読谷の久場良文監督。読谷高校の指導にあたって6年目になる。
高鍋戦は、後半一時4点差に詰める時間帯も作ったが、高鍋のタフさに力およばず最後は15点差をつけられ安全圏へ逃げられた。それでも、ラックでのターンオーバーや、そこからの逆襲の判断、タックルなどで好場面も数多く作った。
九州レベルでの勝利は2年前の九州大会(春)が初めて。鳥栖工を倒して同校の金字塔をたてた。かつては存続危機の部員不足に悩まされていた。久場先生が読谷にやってきた2015年度は新入生2名、その後、ゼロ、ゼロ、と続いて、2018年度に大量19名が加わって息を吹き返した。2020年度、100回大会花園予選では、決勝で名護21-19読谷の惜敗。終了直前に食らった逆転トライで散った。
実はその前にエピソード・ワンがある。ちょうど一年前の新人戦沖縄決勝。読谷は同じ名護に3点差で敗れている。
「春は大会が中止で戦えなかった。よけいに、花園予選は勝つつもり満々でした。でも、いざリードして終盤を迎えると平常心ではいられなかった。リードして勝つという経験がなかった」(久場監督)
メンタル。もう一つ、この試合の収穫は、強みにこだわる重要性を知ったこと。自信のあったFW戦を徹底できず、BKに出したところから逆襲を食らった。
次のレッスンは、続くオータムチャレンジ(100回大会記念のブロック枠トーナメント)だ。相手は鹿児島工、決勝で敗れた時の経験を生かし、とことんFWにこだわって、やり切ったが、ゴールラインは遠く敗退した。
「だから今回は、やっとでした」
久場監督は、この九州新人1回戦、南山戦の選手たちを自慢に思う。