『考える』ことが、『成長』につながる。元ラグビー日本代表主将、トップ選手の心構えを語る。
ドラマ出演やリーダー育成などラグビーの枠を超えて活躍の場を広げている 元ラグビー日本代表キャプテンの廣瀬俊朗氏がこの夏、 若きラグビーマンたちにオンラインセミナーを行った。 本誌の編集長・田村一博との対談形式で進められた会は、 プレーヤーとして成長するためのヒントが盛りだくさんの内容に。 全国から参加した若者たちが、多くの学びを得る貴重な機会となった。
2012年に発足したエディー・ジョーンズ ヘッドコーチ体制の日本代表でキャプテンに指名され、’15年のラグビーワールドカップ(RWC)にも出場した廣瀬俊朗さん。’16年の現役引退後はRWC2019日本大会のアンバサダーを務めたほか、大ヒットドラマ「ノーサイド・ゲーム」にも出演するなど活躍の場を広げ、現在は株式会社HiRAKU代表取締役として、教育事業やリーダー育成に力を注いでいる。
そんな廣瀬さんがこの夏、『リポビタンゼリー for Sports×廣瀬俊朗氏 オンラインセミナー』と題して、若きラグビーマンたちに講演を行った。同セミナーではラグビーマガジンの編集長・田村一博の進行のもと、様々な体験談や選手としてのアドバイスが語られ、質疑応答も行われるなど、充実した時間となった。
トレーニング、栄養、休養が 身体づくりの3大要素
学生時代から「自分で考えて何かをやることが好きで、どうすればもっとうまくなるかな、と常に試行錯誤しながらやっていた」と振り返る廣瀬さん。北野高では花園出場はかなわなかったものの、自分たちで練習メニューを考え、工夫して勝利を目指すところは、日本代表にも通じる部分があったという。
一方で、当時足りなかったと感じているのがフィジカル面だ。ラグビーでは高いレベルで戦うための前提となる部分だけに、「もう少しやっておけばよかった」と反省を口にする。また、年齢を重ねるとトップスピードを高めるのが難しくなるため、「若い時はスピードトレーニングを多くやるといいと思います」と練習のポイントを挙げた。
フィジカルの強さに直結する身体づくりについては、トレーニングとともに栄養面も重要になるが、「高校時代はそこまで深く考えていなかった」と語る。本格的に意識するようになったのは慶應義塾大学に入学してからで、自炊をする中でバランスよく食材を摂ること、3食きちんと食べることを大事にしていたそうだ。
東芝ブレイブルーパス入団後はチームからきめ細かなサポートを受けるようになったことに加え、年齢的にも若い頃に比べ回復に時間がかかるようになったことから、コンディション維持やケガの予防のために、栄養についてより強く意識するようになったという。そこからさらに基準を引き上げられたのが、エディー・ジャパンで過ごした時間だ。過酷なトレーニングを重ねつつ栄養の質を高め、脂肪を落としながら筋肉量を増やし、なおかつ運動量もアップさせるという困難なテーマを徹底して追求した結果、2012年からの4年間でFWの体重が一人平均で10㌔近く増加し、体つきも見違えるほどたくましくなった。
こうした身体づくりを進めるうえで廣瀬さんがポイントに挙げたのが、『トレーニング』『栄養』『休養』の3つだ。これらをうまく回していくことで強い体を作る良いサイクルが生まれる。「若い選手も、この3つを揃えてチーム力を高めていくところを意識してほしい」と訴える。 「試合や練習の後には、枯渇した栄養と水分をしっかり摂ることを大切にしていました。また睡眠もすごく大事で、1日8時間くらいは寝たほうがいいといわれています。若い頃はつい夜更かしをしがちなので、なるべく早めに寝る習慣をつけることが大事だと思います」
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『何を摂るか』が パフォーマンスを左右する