国内
2012.11.03
帝京大、早大のハイパント作戦を跳ね返す
力強いランで突破する帝京大CTB中村亮土(中央)
(撮影:見明亨徳)
早大SO間島陸が球を高く蹴り上げるたび、帝京大はかすかに混乱した。「ワセダが準備していた」と苦しんだ側のNO8李聖彰は言う。味方が捕球する周りを鋭い出足のチェイスに囲まれたため、失敗を重ねたようだ。2012年11月3日、東京は秩父宮ラグビー場。1万人超の観衆を集めた関東大学対抗戦Aの大一番で、1年生のSO森谷圭介は「緊張がミスに…」。得意なはずのキックに難儀した。前半は10−17とされた。
「本当は森谷に勝たせてやりたかったんですが」。7点ビハインドの後半26分、岩出雅之監督は迷う新人に替えてCTB荒井基植を投入。今春は日本代表入り、この日CTBで先発の中村亮土がSOに移る。終盤の攻めを組み立てた2人はリズムを生み、30分以降の全17得点を決める。37−27と逆転勝ち。遡って最大14点差を背負っていた11分、円陣でHO泉敬主将が「これはマイナスじゃない。楽しもう」と言ったのも効いたか。早大は失点後のキックオフでミスをするなど、追い上げられる終盤にパニックを起こした。2トライを挙げたFL金正奎は語る。
「帝京大は立ち返る部分が明確。そこに差が出た」
(文・向 風見也)