コラム
2019.08.01
【ラグリパWest】15歳のスタート、還暦のスタート。 兵庫県立西宮南高校
【キーワード】西宮南高校
部員も顧問も新しいスタートを切った。
西宮南高校。通称「シャーナン」。
この兵庫の県立校は、高校野球の聖地・甲子園から南東へ自転車で10分ほど。阪神間のニュータウン・武庫川団地の外れにある。西には大阪湾が迫る。潮風がそよぐ。
ラグビー部ができたのは学校創立と同じ1975年(昭和50)。高校ラグビーの聖地には一度行った。12年後の67回大会だった。
その部に今年4月、新入生と顧問が入った。1か月前、3年生3人が卒業し、部員数は0。一瞬の休部状態から解放される。
唯一の1年生・富井慧太はラグビーを語る。
「みんなでできるから楽しいです。話をしながらやれるのもいいです」
157センチ、58キロ。小柄なフランカーは小5から西宮ラグビー少年団に入った。
「それまではなにもやっていませんでした。5年間でこのスポーツが好きになりました」
時期を同じくして、保健・体育教員の山瀬順行(まさゆき)が赴任する。
昨年4月、60歳を迎えた。母校でもある神戸を定年で去り、再任用を選んだ。
「0と1人とでは全然違う。富井くんのおかげで今もラグビーに関われます」
この雇用形態は1年ごとの更新で、希望すれば5年続く。山瀬は今、週16時間の授業を持ち、2年生の担任も務めている。
県の高校ラグビーは今年、危機的な状況を迎えている。競技人口が前年の約1100人から800人に急降下した。
西宮南は現在、県立西宮、西宮甲山、芦屋学園の計4校で合同チームを作っているが、富井はチームでも唯一の新人である。