コラム 2019.07.12

【コラム】ふたりのフルバック。

[ 田村一博 ]
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【コラム】ふたりのフルバック。
藤田慶和、母校に立つ。



 25歳と19歳。
 7月9日の朝、ふたりのフルバックと会った。

 福岡市、地下鉄・東比恵駅近く。東福岡高校の校門前にサクラのジャージーを着た男が立っていた。
 藤田慶和。
 日本代表キャップ31を持つ。ワールドカップ2015年大会の舞台にも立った。セブンズ日本代表として活躍中だ。

 この日が教育実習の最終日だった。
「ワールドカップも近づいてきた。大会PRの意味も込めてやろう」
 同校ラグビー部を指導する藤田雄一郎監督の提案もあり、朝から「校門指導」にジャージー姿で立った。

 登校してきた生徒たちに「おはよう」と声をかける。近隣住民、通行者にも挨拶し、行き交う車の交通整理も。
 最初こそ照れくさそうだったが、すぐに自分の役目に徹した。途中、その姿を見つけた一般の方からの写真撮影希望にも快く対応し、PR面でも成功だった。

 3週間の教育実習(保健体育)は、途中でセブンズ代表合宿のために抜けた。しかし、その活動を終えた後に復帰。そんな動きだったから、予定より遅れて全日程を消化した。
 授業が終われば、グラウンドに出て、後輩たちの指導にもあたった。
「ちょうどセブンズ(の全国大会に向けての準備)をやっていたので、アドバイスをしました」
 教員免許を取得するのは、将来の選択肢を増やし、自身の可能性を広げるためだ。
「将来、指導者になる気持ちが出てくるかもしれないので。今回、生徒と触れ合う中で、どう声をかけるのか、どんな言葉がいいのか、と考える場面もありました。すごくいい時間を過ごせました」

 状況はどれだけ困難でも、「2019年のワールドカップに出る」と強い気持ちを秘める。「いつ声がかかっても対応できるようにしているつもりです」と迷いなく言い切った。
「セブンズにも100パーセントの気持ちで取り組んでいます。そうやって自分を成長させることが、もしものときの準備にもなる。ワールドカップでの日本代表の全試合が終わるまで、その気持ちは変わりません」

 教育実習中の指導の現場を見た藤田監督が言う。
「堂々としていましたよ。子どもたちは、自信のある人間の言葉を受け入れるし、ついていくものです」
 実習が終わっても、後輩たちは偉大な先輩の行動を追い、言動に注目するだろう。
 自分を信じる強い気持ち。目標に迷いなく突き進むその姿。影響を与え続ける日々は続く。


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