コラム
2019.07.12
【コラム】ふたりのフルバック。
決して将来が明るいわけではない。トップチームはプロ選手を獲得し、補強する。これまではU22の中でも若い方だったが、新シーズンは下の選手からの突き上げもあるだろう。
一歩一歩と言っていたら、追い越されるし、振るいにかけられる。待遇が良くなることは、厳しさが増すことも意味する。
そんな状況にも、本人は「いま、目の前のことに全力を尽くすだけ」と迷いはない。もっと良い選手になって、プロ契約を勝ち取るレベルに到達したい。
「昨季のレビューがありました。自分自身とコーチたちが、それぞれの項目について評価し、比較するものです。パス、視野、ディフェンスについては、良い評価でした。そこは、自分とコーチの評価が一致していた。キックが課題です。来年はスタンドオフもやろう、と言われています」
日本と違う環境も、もう、それが当たり前となった。バスでの長時間移動。本気のチームビルディング。U22チームにはイングランド人もいる。上のカテゴリーにはフィジー人たちも。
「みんな、オンとオフの切り替えが凄い。試合になるとスイッチが入って目の色が変わる。僕ですか? たぶん同じようになっていると思います。そうでないとやっていけない」
プレーヤーとコーチの関係が対等なことにも慣れた。
「コーチの言ったことに対し、自分はそうは思わない、と言うこともある。それで関係がおかしくなることもありません」
スポーツコーチになるための専門学校にも通っている。中学時代は英語の成績は「2」だったけれど、フランス語を流暢に話す。すべてのことが自身の成長を呼び、世界と戦う選手への成長につながる。
2023年、フランスで開かれるワールドカップにサクラのジャージーを着て立ちたい。
人と違う道は、自分の信じる一本道。