女子ラグビー界のトンプソン ルーク。櫻井綾乃のロック魂。
女子ラグビー界のトンプソン ルークと呼ぶ人もいる。
ハードワークが信条だ。
運動量では負けたくない。粘り強さでも。横河武蔵野アルテミスターズの櫻井綾乃のことだ。
5月26日から始まった女子15人制日本代表の強化合宿。初日はFWだけが集まって練習を開始した。
午前のクボタ グラウンドでの練習を終え、午後は千葉・柏の麗澤大ラグビー場へ移動。レズリー・マッケンジー ヘッドコーチの指導のもと、セットプレーの強化に力を注いだ。
午後の練習は、ラインアウトのジャンパーとリフターのコミュニケーションとテクニックに時間が割かれた。そこで櫻井は積極的だった。
リフターにアドバイスを繰り返す。他より安定したジャンプを何度も。自然にリーダーのように振る舞った。
2017年の女子ワールドカップ(アイルランド)を経験しているからだ。2021年大会にも出場し、日本の女子ラグビーの力を示したい。その思いが自身を突き動かす。
強豪国との真剣勝負を知る者として気を引き締める。
世界は甘くない。
2年前のワールドカップ。チームはアイルランドを慌てさせ、オーストラリアに食らいついた。
最終的には5戦して香港戦の1勝しか手にできなかったが、周囲はそのパフォーマンスを称えた。
しかし、櫻井の考えは違う。
「(強豪国に)勝てなかった。だから、次のワールドカップではもっといい成績を残して、日本の女子がもっとラグビーをやりたい、と思うようにしたい。いまやっている若い選手たちが、もっと輝きたいと思えるような結果を残したいんです」
身長165センチ。自分より背の高い選手は他にいくらでもいる。
でもLOで勝負したい。2015年のアジアチャンピオンシップ、香港戦で初キャップを得たのが、その位置だったから愛着がある。
自身の武器である運動量と粘り強さで勝負する。