コラム 2019.04.24

【コラム】選手ではなく、人。エディーの教え/前編

[ 中川文如 ]
【コラム】選手ではなく、人。エディーの教え/前編
日本のコーチたちに刺激を与え続ける。(撮影/松本かおり)



 An athlete is a person first and a player second.
 アスリートは選手である前に、一人の人間なのだ。コーチが導くべきは、競技用ロボットではない。人なのだ。
 ちょっと意訳を加えてみた。エディーさんの教え。4月中旬、エディー・ジョーンズさんがつかのまのオフを割き、大阪と東京で日本のコーチたちに熱弁を振るった。その熱い熱いアカデミー「アンサンブルラグビー」の一部におじゃました。

 ラグビーへの発見がそこかしこにちりばめられたセッション。ただ、エディーさんが訴えたかったのは、細かいコーチングスキルというよりもむしろ、人と接することの大局的な重みだったのだと思う。

「その選手がどんなモチベーションでプレーしているのか。ストレスがかかると、どう反応するのか。そして、何を成し遂げたいのか。コーチは把握しなければならない」

「そのためには観察力、洞察力が欠かせない。例えば、選手の服装、髪形、話し方がちょっとだけ変わる。そこに目を凝らしてほしい。トイレですれ違った時のちょっとした声かけから気づくこともたくさんある」

 時に厳しい言葉を投げかけなければならないのもコーチ。エディーさんには信念がある。
「自分を成長させてくれるコーチを、選手は求めている。実は正直に接してほしいものなんだよ」
 ていうか、あなたは元々、何でもストレートに言っちゃうタイプですよね? 聴衆の問いかけに、エディーさんは苦笑しながら「私も学ぶのだ」と答えた。
「まず、選手の同意を得る。『正直に伝えるけれど、大丈夫?』とね。君が、君自身の問題を解決できるように私は助けたいんだ、と」


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