【ラグリパWest】勉強とラグビーの両立で選抜出場。 長崎県立長崎北陽台高校
長崎北陽台は坂の上にある。
登りきれば視界は開ける。白砂のグラウンドに青い空のコントラストが美しい。
勉強とラグビー。両立を目指す高校は春の選抜を決めた。冬の花園と並び、20回目となる全国大会は3月29日に始まる。
主将の岡崎颯馬(そうま)は力強い。
「予選リーグを突破して、ベスト4に進みたいです」
OB監督の品川英貴は信任する。
「人格者。苦しい練習を笑顔でできます」
5位までが選抜に出場できる2月の九州大会では3位に入った。準決勝では佐賀工に14-21と競り負けるも、順位決定戦では、大分舞鶴に43-19と差をつけた。
北陽台は県内の公立難関校のひとつ。長崎西、長崎東、諫早などのグループに入る。
平日の授業は7時間。練習は5時前後から1時間30分ほどしかできない。
「おしりは6時30分と決まっています」
保健・体育教員でもある品川は説明する。
土曜の午前中は自習と呼ばれる補習が入る。公式戦以外はラグビー部も参加する。
部員は常に少ない。
勉強での入学が基本になるため、ハードなスポーツは敬遠される。
その中で芯になるのは推薦入学の5人。学校は「北陽台のスポーツはラグビー」として、県が認めているスポーツと芸術の特別枠すべてを振り向けてくれている。県内には10のラグビースクールがあり、楕円球になじんだ土壌はある。
部員数は21(新3年=11、新2年=10)。女子が2人いる。
身内で試合形式の練習はできない。
品川はハンディを逆手に取る。
「稼働率から言えば、すごいと思います。休みなくどんどん回って来ますから」
攻撃が3人、守備が5人の練習では、1回休めばすぐに次の順番が来る。
穴を見つけて攻める。それを止める。守りに成功すると、前に出て腹ばいになって、後ろに戻ってセットする。そして、また突破しようとする者を抑えにかかる。
伝統として、人がいない分、コンタクトによる消耗を避け、ステップやパスを使ったランニングラグビーを志向する。
藤田雄一郎は言う。
「あの自己肯定感はすごいです。自分がやらんといかんとか、自分はケガできない、といった感覚を持ってやっています」
率いる東福岡は九州大会を制した。今年1月3日の全国8強戦では40-12。花園優勝6回、歴代4位の記録を持つチームの監督は、それでも北陽台に畏敬の念を抱く。