国内
2018.09.01
神戸製鋼には“精密機械”パーカーもいる! NTTコムとの熱闘制し白星発進
何色のジャージーを着ようとも、精密機械は本来の役割を失わなかった。
ヘイデン・パーカー。今季のトップリーグ開幕戦では紅の10番を背負い、2本のPGと4本のコンバージョンを全て成功させ、神戸製鋼の勝利に貢献した。開始直前に雨が降る難しいコンディションも、「ちょっとトリッキーだったけど、最終的にチームが勝てて満足している」とサラリ。サンウルブズで見せた精緻なキックと献身は、トップリーグでもファンを楽しませてくれそうだ。
8月31日、神戸総合運動公園ユニバー競技場でおこなわれたトップリーグ開幕戦は、神戸製鋼が34−27でNTTコムを下して、勝利を飾った。
前半は13−13の同点。後半に神戸製鋼が連続して2トライを奪い、食い下がるNTTコムを振り切った一戦。敗者となったが、80分通じて低いタックルを炸裂させたNTTコムの金正奎主将が前半を悔いた。
「うちがスロースタートだった。後半、チャンスに畳み掛けられなかったのが全て」
先制したのはNTTコムだ。前半3分、SO小倉順平のPGだった。しかし、その後は自陣での戦いを余儀なくされ、パーカーに2本のPGを決められる。今季、東芝から移籍したWTB石井魁のトライでリードを奪う場面もあったが、神戸製鋼のスーパーブーツの存在は、NTTコムに見えないプレッシャーを与えたのだろうか。
後半8分、トライを挙げた神戸製鋼のWTBアンダーソン フレイザー(撮影:牛島寿人)
初陣を飾った神戸製鋼のデーブ・ディロンHCは「きれいな勝ち方ではなかったが、最後まで戦う気持ちを失わなかった」と称えた。奪った4トライも「いずれも違う状況から、自分たちで空いてるスペースを見つけて仕留められた」と、今季目指す攻撃的なスタイルを評価した。
敗れたNTTコムも、前述の金主将を筆頭に、ボール争奪局面で激しいプレッシャーをかけ続けた。
ロブ・ペニーHCは言った。
「充実した良き2チームが対戦した。どちらかが負けねばならない。今夜は我々だった」
その言葉に過不足のない健闘。中でも神戸製鋼を凌駕したスクラムは、今後も他チームを苦しめそうだ。
前半、スピードを活かしたトライを奪ったNTTコムのWTB石井魁(撮影:牛島寿人)
神戸製鋼に新加入した注目のダン・カーターは、この試合のメンバーには入らず、ウォーターボーイとしてピッチにたびたび登場。アンドリュー・エリス共同主将は「どこにスペースがあるか教えてくれた」と、僚友の助言に感謝した。
本人は前日にコーチからウォーターボーイの役割を言い渡された。
「(ウォーターボーイは)オールブラックスでも何回かやってる。外から見ていると、内側では分からないいろいろなことが見える。今日は勝ってスタートできたのがよかった」
カーターに注目が集まる神戸製鋼だが、エリス&パーカーのHB団でも、十二分にトップリーグを戦えることが、この日証明された。
(文:森本優子)
ウォーターボーイとしてピッチに登場した神戸製鋼のダン・カーター(撮影:牛島寿人)
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