金星、毒魚、回転トライ…。現地証言で振り返る、日本代表WTB山田の狂騒曲
ラグビー日本代表のWTB山田章仁は、ワールドカップ(W杯)イングランド大会のプールステージで2試合に出場。30歳にして初めての大舞台で、初トライも決めた。
何かと話題を独占した。
9月19日、ブライトンコミュニティースタジアム。過去優勝2回の南アフリカ代表との初戦では「なかなかボールも回ってこなかったんで、タックルは、行こうかな」とタックルを重ね、34-32で勝利。もともと故障からの復帰初戦で「僕自身にとっても、この初戦は、すごく大事」と、次戦以降の出番を掴むうえでは勝負の一戦だった。
「まだ、終わってない。これが次につながるといいですね」
もっとも翌日、滞在先のブライトンの海では「ウィーバーフィッシュ」という毒魚のヒレを踏み、静養を余儀なくされる。「足の指は動かなかったですけど、手の指は動いたので」と知人からの祝賀メールの返事を打ちながら、スコットランド代表戦(9月23日/グロスター・キングスホルムスタジアム/●10-45)は欠場せざるを得ないと感じた。
「全試合に出てチームの中心になりたいと思っていたので、出られなくて…という思いはありましたかね。ま、切り替えるのは得意な方。まずはコンディションを戻す方へ…となりました」
そして10月3日、ミルトンキーンズ・スタジアムmk。サモア代表戦の前半終了間際である。敵陣ゴール前右タッチライン際。対面のWTBアレサナ・トゥイランギのタックルを、自ら身体を回転させてかわす。インゴールへ飛び、貴重な追加点を奪った。26-5で勝利後、こう振り返った。
「(球をもらった場所から)トライラインまで距離があった。外に勝負したら(トゥイランギの腕力で)タッチラインの外に押し出されるかな、と。で、向こうが前に出てきたところ、上手く身体を使えましたね。ああいうトライを準備して、練習してきたので、こういう発表会で出せて嬉しいですね」
今大会を3勝1敗の戦績で終えると、帰国後は大忙し。ラジオパーソナリティーを務めたり、イベントやテレビ番組のゲストとなったり、以前プレーしていた社会人アメリカンフットボールXリーグのノジマ相模原ライズの試合を観戦したりと、つかの間の休息期間も動き回っている。「バタバタしている方が、僕にとってはいいのかなと」。間もなく所属先のパナソニックへ本格的に合流し、11月13日、東京・秩父宮ラグビー場での国内最高峰トップリーグの開幕節に挑む。相手はサントリーだ。