「ここは引けない」 立教大WTB山田が低いタックル&ランに秘めるプライド
関東大学オールスターゲームでナイスタックルを決める対抗戦選抜・立教大のWTB山田雄大
6月28日の関東大学オールスターゲーム(東京・秩父宮ラグビー場)で、小よく大を制すといった趣のシーンがあった。演じたのは、対抗戦選抜のWTB山田雄大だった。関東大学対抗戦Aで昨季8チーム中7位の立大から選ばれた、身長173センチ、体重81キロの2年生だ。
前半29分頃。対するリーグ戦選抜のWTBホセア・サウマキ(大東大)がカウンターを仕掛ける。身長187センチ、体重100キロの大男の突進だ。真正面から、WTB山田がぶつかる。タックル。
「すごいスピードで来た。怖かったけど…」
差し込んだ。足元にしがみついた。WTBサウマキはそれを振りほどこうと、ラフな行為を犯した。一時退場処分が下る。試合はリーグ戦選抜が33-29で勝ったが、WTB山田は当該のシーンに確かな手ごたえを掴んでいた。
「自分が気づかないで掴んじゃって、相手をいらいらさせたのは申し訳なかったですけど…。自信は持てました」
神奈川・桐蔭学園高出身。上背こそないものの、身体の強さを活かしたランとタックルには定評がある。6月には、20歳以下日本代表としてイタリアでのワールドラグビーU20チャンピオンシップに参戦。前年の冬から続いた候補合宿では別なWTBがリストアップされていたが、大会直前期、中竹竜二ヘッドコーチはこんな理由でWTB山田に声をかけた。
「ボールキャリアとしてもタックラーとしても非常にフィジカルが強くて、実はずっと(候補)リストには入っていました。ここまでは速さ、スキルのある人間を(メンバーに)選んできた。ただ、タフな人間をもう1人、入れたいと思いました」
本人は「実感がわかなくて…。でも、時間が経つと世界と挑戦できるんだな、と。不安もありつつ、楽しみな思いもあって」。本番では出場機会こそ少なかったが、大型外国人を前に大切な気づきを得た。
「低いプレーを徹底することを、頑張っていこう、と。世界のなかでの日本みたいに、対抗戦のなかでの立大も身体の小さいチーム。ベクトルやレベルは違うけど、(自身の体験を)チームにもフィードバックさせたい」
その向こう側に、華試合を盛り上げるタックルがあったのである。WTBサウマキとのマッチアップについて、WTB山田は「怖かったけど…」に続けてこう口にしている。
「一緒にU20に選んでもらった仲間、桐蔭学園の友人がこの試合を観ている。ここで身体、張んなきゃ、引けないな、と」