いまがD-Rocksの楽しい時期。部内で主将に挑む大本峻士が届けたい「感動」。
クラブで評価の高いルーキーのひとりだ。
大本峻士。ジャパンラグビーリーグワン1部の浦安D-Rocksに所属する。身長174センチ、体重103キロでポジションはHO。スクラムの先頭中央に入れば、低くまっすぐな姿勢で相手の塊をえぐりにかかる。
立命大を出たばかりだ。ただ、卒業を前後して参戦した今年6月までの「0年目」で5度の公式戦を経験できた。
印象的なのは5月1日の第17節か。
ちょうど最下位に苦しんでいたものの、戦前首位の埼玉パナソニックワイルドナイツを27-24で下した。東京・秩父宮ラグビー場でのこの一戦に、先発して59分間プレーした。
自身が入る直前に就任したグラハム・ラウンツリーヘッドコーチは、D-Rocksを育成型クラブにしたいと考える。接点での動きには厳しく目を光らせ、強度やスキルに問題があればその場で指摘する。
2024年度の1部昇格以来2年連続で入替戦に進んでいるクラブが変化しつつあると、大本も実感する。
楽しい時期を過ごす感覚がある。
「コーチの声かけによって、選手の意識が上がってきている。僕たちが歴史を変える…ではないですが」
シーズンをにらみ、10月10日には自軍のグラウンドで東京サントリーサンゴリアスとのトレーニングマッチに先発。約30分の出番を得た。試合は14-45で敗戦も、大本が多くの時間をプレーした前半は14-14のタイスコアだった。
スクラムでは自分たち好む間合いで組むべく一進一退の駆け引きを重ねた。向こうと接近した状態で組めば、よく前に出られた。
球が動くなかでも存在感を示した。
攻撃布陣に入ってパスを回すなか、味方の落とした球へすぐに飛び込んだことがあった。エラーをエラーのままにしない献身について、「1回、練習で、落ちたボールをピッと蹴って、コーチに怒られたので。それはやめておこうと落ちて、」と微笑む。
大外へ展開された局面へも対応し、向こうのエラーを引き出した。何より強烈なタックルを重ねた。
「(出場時間は)ミスもありましたが、フォーカスしていたフィジカルで、特にディフェンスである程度は貢献できたかなと」
2019年に入った大阪の常翔学園高では全国大会出場、高校日本代表候補入りを経験も、トップレベルでの競技継続は大学3年になるまで考えられなかった。
きっかけは2年時にあった。20歳以下(U20)日本代表に呼ばれ、活動拠点がいまいる浦安Dパークだった。D-Rocksの栗原徹・現アシスタントコーチがU20日本代表をサポートしていて、自身に興味を持ってくれた。もともと「友達がいなかった」ため参加すること自体をためらっていたU20日本代表で、将来の道を切り開いたのだ。
「(D-Rocks)声をかけてもらって、チャンスがあるんやったら、やろうかな…というイメージです。(U20日本代表も)行ってみたら楽しくて。友達もできましたし」
いまは主将と定位置を争う。
藤村琉士はスクラムの強さに秀で、今年2月には日本代表候補メンバーに名を連ねていた。現在故障からの復帰を目指す5学年上の先輩に、大本は「スクラムについてわからんことを聞いたら、何かしらの答えは持っている。頼りにさせてもらっています」。強者と切磋琢磨できるのに感謝する。
「その(強い人)と練習で組めるのは、いい環境です。吸収できるところは吸収し、自分なりに解釈し、いい選手になれれば」
目標を問われる。
「1試合でも、1分でも多く出て、経験を積んでいきたい。その結果、ひとつでも上の順位に行ければいいなと。まずはチームで1番(の選択肢)になる。その結果、去年のパナ戦のような感動をお客さんに届けられたらいいなと」
日々を丁寧に過ごし、感動的な瞬間を作り出したい。




