日本代表が欧州遠征から帰国。エディー・ジョーンズHCは「選手層の厚み」に手応え。
テストマッチ4戦で1勝3敗の戦績を残したヨーロッパ遠征「リポビタンDツアー2025」を終えた日本代表が11月24日に帰国。同日、羽田空港でエディー・ジョーンズ ヘッドコーチと永友洋司チームディレクターが遠征を総括する記者会見に出席した。
遠征最後の4戦目、22日のジョージア戦でツアー唯一の勝利(⚪︎25-23)を挙げたことで、世界ランキング12位に食い込み今年のシーズンを終える第2期エディー・ジャパンの2年目。12月3日におこなわれる2027年W杯オーストラリア大会のプール組分け抽選会では、12位以上のグループ「第2バンド」で臨むことが決まった。
チームを統括する永友洋司TDは、世界ランキング4位以上の強豪国と「チームの差は依然として大きい」と所感を述べた。一方で「その差を実際に体感できた。チーム全体が国際基準に向けて何を改善すべきか、明確にできたことが今後に向けて大きな財産になった」と収穫を語った。
エディー・ジョーンズHCは、チームの理想と現状の開きについて「まだ差はありますが、この1〜2か月でかなり狭まったと思います」と述べ、欧州遠征を経て「選手層の厚み」を加えた手応えを語った。特に欧州遠征に初めて参加し、ツアーを通してフロントローに立ち続けたルースヘッドPR小林賢太、HO佐藤健次の成長を評価した。
テストマッチの戦いぶりについては「唯一歯が立たなかったのは南アフリカだけ(11月1日・ロンドン⚫︎7-61)」として、アイルランド戦(8日・ダブリン⚫︎10-41)での健闘と勝機を示唆。ウエールズ戦(15日・カーディフ⚫︎23-24)は「最後の3分で、あの状況をチームとして対応できなかった」が、次のジョージア戦で「同じような状況をうまくチームがハンドルして、勝つことができた」と進歩を表現した。
「テストマッチは僅差で勝敗が決まることもあります。そういった局面でタフにファイトし続けなければいけない。そして戦術的・戦略的にも賢く戦わなければいけない。そうした点の成長が今回は見られたと思います」
攻撃面に目を向けると、オーストラリア戦(10月25日・国立⚫︎15-19)以降のテストマッチ5戦で奪ったトライは7。1試合平均1.4トライのアタックと決定力不足が課題として浮かび上がった。エディーHCはトライ奪取のポイントに、ハイパントキックの再獲得とスペースへの展開、そして敵陣22mライン内侵入後のプレーを挙げた。
「ジョージア戦ではキックして獲った後にボールを動かすことはできましたが、次に出てきたスペースに対してうまく仕掛けることができなかった。もう少しアタックのラインを立てなければいけなかった。22mに入ったらアメフトのような感じで決められたプレーを展開して、独自の方法でアタックしていかなければ、なかなかトライは取れないと思っています。いろいろな考えがあって議論を始めているところで、来年から着手していきたいです」
そうしたチームの攻撃をデザインし指導するアタックコーチは今ツアーで不在となっていたが「候補は挙がっていて、これから交渉を始める」(永友TD)という。BKの選手は日本出身選手が多いことから、エディーHCは「日本語が喋れるコーチがいい」と求める人材のスキルを挙げた。
2027年W杯に向けたスコッドの完成度について「今は60〜70%ぐらい固まってきた」と進捗を述べ「来年は80%まで高めたい」とした。2026年は12〜15試合のテストマッチが予定されているとのことで「80%のスコッドで継続的に試合を戦っていくことで、チームの安定性を築き上げたい」とした。
来年のチームの指揮について、永友TDは「この体制で行きたい」とエディーHC続投の意向を示した。今後、理事会を経て承認される見通しだ。



