悔しい出来事も淡々と受け止める。植田和磨の準備。

力をつけたかった。
コベルコ神戸スティーラーズの社員選手である植田和磨は、日本代表の指揮官であるエディー・ジョーンズのリクエストに応える。
初選出されたナショナルチームの活動を7月までに終えると、代表合宿に再招集される10月上旬まで課題克服のためのスケジュールを組んだ。毎朝8時半頃の出社に先立ち、ランニングセッション、ウェイトトレーニングをこなした。
そもそもフィジカリティは、スティーラーズでも課題に掲げられていた。
今年6月に決勝があった昨シーズンは、近大卒業前からアーリーエントリーという立場で国内リーグワン1部の公式戦へ出場。12チーム中3位で戦い終えながら、「外国人の相手にふっ飛ばされるようなこともありました」。自分が立ちたいステージに立つには、サイズアップは不可欠だとわかった。
「上半身(の強化)に重きを置いて取り組んできました。特にベンチプレスと腕。エディーさんには『とにかくパンプしろ』と言われてきました」
負荷で筋肉を大きくしながら、高い弾道の捕球技術、スプリント能力といった、持ち場のWTBで必要な項目も磨いた。それらももっと質を上げたいからだ。
さかのぼって7月12日、ウェールズ代表戦へメンバー入り。チームのホスト会場でもあるノエビアスタジアム神戸でリザーブとして出番を待ったが、最後までお呼びがかからずに敗れた。
念願のテストマッチデビューに至らなかった思いを聞かれ、潔く話す。
「実力不足なのはわかっています。その後、(ジョーンズから)改善点をレベルアップしてこいという話をいただきました」
話をしたのは10月17日。若手主体のJAPAN XVとして挑むオーストラリアA代表とのゲームを翌日に控えてのことだ。本番のある大阪・ヨドコウ桜スタジアムで会見した。
当日14番をつける身長177センチ、体重87キロの22歳は、もともと正代表の一員としていまのキャンペーンに参加している。
25日以降のテストマッチ5連戦を念頭に置き、「ジャパンのスタンダードを決める大事な一戦。自分ができることに思いきりチャレンジしたいです」とまとめた。