国内 2025.09.12

山中亮平[浦安D-Rocks/FB・SO]の挑戦。大好きなラグビーが「楽しい」新チームで見据える未来。

[ 木村大輔 ]
山中亮平[浦安D-Rocks/FB・SO]の挑戦。大好きなラグビーが「楽しい」新チームで見据える未来。
浦安市内でトレーニングに励む山中亮平(撮影:木村大輔)

 日本代表30キャップで2019・2023年のW杯に出場したFB/SO山中亮平が12シーズンに渡りプレーしたコベルコ神戸スティーラーズを昨季限りで退団、浦安D-Rocksへの移籍を決めた。グラハム・ラウンツリー新HCのもと走り出したチームに8月中に合流し、来る新シーズンに向けて自分自身のコンディションも高めている。

 東海大仰星高、早大時代から若くして注目を集めてきた山中も、今年6月22日に37歳となり「転機」を迎える中でラグビープレーヤーとしての終着点を意識するようになった。

「神戸に残って(現役を)終えるという選択肢もあったんですけど、人生一度きりですし。あと何年ラグビーができるかわからない中でもう一回刺激もほしかったし、新しいことにチャレンジしたい気持ちもありました」

 新たな刺激を求めて辿り着いた浦安での生活はおよそ1か月が経過。「いま、ラグビーやってて楽しいですね」と率直な思いを語るように、大きく変化した新鮮な環境で有意義な時間を過ごしている。

 2011年の早大卒業後に当時トップリーグの神戸製鋼に入団するも、使用した口ひげ育毛剤から禁止薬物が検出されドーピング違反で2年間の資格停止処分を受けた。ラグビーができない状況に陥るも、周囲のサポートを受けて這い上がりパフォーマンスにつなげてきた。そうした経験が「自信」となり、現在の山中を形づくっている。

「これまでやってきたことが全てです。積み重ねてきたものが今の自信になっています。いろいろな経験をして人生を歩んできて、ラグビーに関してもですけど、しっかりとやってきたので」

 ラグビープレーヤーとして歩んできた道のりや経験に加え、「キックやパスは自分にしかない武器」と自負する。新天地のD-Rocksでは、そのスキルを発揮することが期待されている。

 昨季、D-RocksはD1昇格初年度を最下位で終えたが、「みんな真面目ですし、スキルも高い。レベルが低いとは思わないですし、環境も素晴らしいので絶対強くなると思います」と山中の目線で印象と展望を語る。

「HCも体制も変わって、一人ひとりの意識も変わってきていると思うので、ちょっとしたことでチームは強くなると思います。神戸も2018年に総監督、HCが変わって優勝したので、何かきっかけがあればチームも変わります。今はすごく雰囲気もいいですし」

 山中自身もチーム浮上の“きっかけ”となり得ることを自覚している。

「気づいたことがあれば発言もしますし、教えられることやアドバイスできることはベテランとして進めていきたいです」

 そして、大好きなラグビーに全力で取り組むことで、これまで支えてくれた人々への「恩返し」がしたい。

「ラグビーができなかった時期もあるので、その時に支えてくれた人や高校・大学の時にお世話になってきた人たちにがんばってプレーしている姿を見せたいです。それで何かをお返しできたり、元気になってもらえたり、勇気を持つ人もいると思うので。それがラグビーを続ける一つの意味にはなっていますね」

 山中亮平のラグビー人生と挑戦は、まだ続く。

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