ワールドカップ 2025.08.30

女子W杯で白星発進のフランス代表。イングランドでサプライズを起こせるか。

[ 福本美由紀 ]
女子W杯で白星発進のフランス代表。イングランドでサプライズを起こせるか。
ボールキャリーで前に出るLOマナエ・フェレウ(Photo/Getty Images)



 現在イングランドで開催中の女子ラグビーワールドカップで、フランス代表は初戦のイタリア戦を24-0で勝利した。前半は苦戦したものの、後半には徐々に本来のプレーを取り戻し、危なげなく白星を飾った。
 プール戦最大のライバルに勝利するという目標は達成したが、今大会でのさらなる高みを目指すには、まだ多くの改善が求められる。

 この日のエクセター、サンディ・パークの観客は7,052人と、収容人数の半分以下で空席が目立った。大会主催者は45万枚中37万5,000枚のチケットが売れたとアピールしているが、それはイングランドの試合のためということか。

 フランスは、2週間前にイングランドと行った準備試合で大敗(6-40)を喫していた。フランス南西部、モン・ド・マルサンのスタジアムに鳴り響く楽隊が奏でる音楽も、集まった8,000人のサポーターの声援もむなしく、試合開始わずか3分でイングランドのお家芸であるラインアウトモールから先制点を許した。

 全く歯が立たない。夏の厳しい暑さの中、彼女たちの額を流れるのは冷や汗だった。最終的に6本のトライを奪われ、そのうち4本がペナルティからのラインアウトモールによるものだ。

 ボールを持たせてもらえず、持てばハンドリングエラーでチャンスを潰してしまう。防戦一方になり、ペナルティも17と多くなった。最終スコアは6-40。何もできなかった。

 試合後、共同ヘッドコーチ(HC)のガエル・ミニョは「最高の相手と対戦し、自分たちの現在地を知りたかったが、痛いほど分かった。目指すラグビーを見せられず、非常にがっかりしている」と険しい表情で語った。

 この屈辱的な敗戦を踏まえ、チームはイタリア戦でディフェンスとスクラムというフランスの強みを築き直すことにフォーカスした。

 イタリア戦も、決して楽な試合ではなかった。アグレッシブなイタリアのディフェンスに阻まれ、試合序盤はハンドリングやコミュニケーションのミスが続き、思うようなプレーができなかった。

 しかし、約30分が経過したところで、WTBジョアンナ・グリゼのトライでようやく試合が動き始めた。LOマナエ・フェレウがラインアウトでボールを確保し、CTBガブリエル・ヴェルニエがディフェンスを引きつけ、NO8テアニ・フェレウがデコイとなって走り込んだところに、SOカルラ・アルベスへ繋ぎ、グリゼにパス。Xファクターのグリゼがイタリアディフェンスの穴をすり抜け、最後は一人引きずってグラウンディングした。

 今年のシックスネーションズで、GK成功率90%超え、73得点を上げ、大会得点ランキングで2位のゾーイ・ハリソン(イングランド)の37点に大きく差をつけて1位になったFBモルガンヌ・ブルジョワがコンバージョンも決めて7-0とした。その後、フランスは再度イタリアのインゴールに攻め込むが、TMOでトライが認められず、ブルジョワのPGで追加点を挙げ、10点リードでハーフタイムを迎えた。

 後半、フランスは徐々に攻撃のリズムをつかみ始める。イタリアゴール前でボールを丁寧に繋ぎ、走り込んできたPRアッシア・カルファウィに素早く繋ぎ、そのまま飛び込んでリードを広げた(44分、17-0)。

 イタリアも反撃を試みるが、フランスが堅いディフェンスで阻止する。フランスは徐々に解き放たれ、プレーに変化をつけ、ミスも減ってきた。61分、FLシャルロット・エスクデロがチーム3本目のトライを決めた。この試合を通してタックル(17)やジャッカル(5)と活躍していた彼女のチームへの貢献が報われるトライとなった(24-0)。

 ボーナスポイントは逃したが、まずは勝つことが重要だった。スクラムではイタリアを圧倒し、タックル成功率も約90%に達し、得点を許さなかった。ペナルティ数も9回に減らした。

 試合序盤のもたつきや判断ミス、ハンドリングエラー、そしてイタリアのモールに20mも後退させられたことなど、改善点もまだ残る。「リズムを見つけるために、試合を重ねる必要がある」とダヴィッド・オルティス共同HCは付け加えた。

 今週末のブラジルとの第2戦に向けて、フランス代表はメンバーを11人入れ替えた。

 特に注目されるのは、チームの最多キャップ(66)保持者のSHポリーヌ・ブルドン=サンシュスの復帰だ。トゥールーズに所属する彼女は、フランス女子1部リーグ「エリート1」の決勝でボルドーに敗れた後、レフリングを批判する発言をしたために2試合の出場停止を受けていたのだ。
 経験豊富な司令塔のブルドン=サンシュスが入ることで、チームの攻撃がより効率的に指揮されることが期待される。

 また、NO8には初キャップとなる19歳のマリー・モルランが抜擢された。共同HCは彼女を「ボールキャリーに長けており、タックルを破って前に出る、我々が必要とするタイプの選手」と評価している。

 さらに、LOには代表経験が浅いタイナ・マカ(20歳、2キャップ)とイナ・イカエエジ(23歳、4キャップ)が選ばれ、リザーブにもイングランドとの準備試合で初キャップを得たばかりのFLクデディア・シソコ(26歳)、さらに今回初招集、この試合で初キャップのPRマカリータ・バレイナンドンゴ(23歳)が入った。彼女の父は、日本でもプレーしていた元フィジー代表CTBダニエレ・バレイナンドンゴだ。父がフランスでプレーするようになり、8歳の時にフランスに渡った。

 今大会のフランス代表は、平均年齢25歳、平均キャップ数22。今年のシックスネーションズのメンバーが中心で、チームとしての経験が浅い。ワールドカップ経験者は16人で、初参加も16。全選手にプレー時間を与え、チーム全体で調子を上げていきたい。

 過去9回の大会で6度3位に終わっているフランスは、まだ決勝に進出したことがない。共同ヘッドコーチは「今大会の目標はベスト4」と語る一方、選手たちからは「優勝」という言葉も聞かれる。

 フランスでは彼女たちの試合はすべて地上波で放送される。時差も1時間しかなく多くの人に見てもらえる機会だ。現地時間21時のプライムタイムに放送されたイタリア戦も、平均320万人の視聴者を集め、フランス女子ラグビーの記録をまた更新した。

 世界ランキング4位のフランスは、女子ラグビーの本場イングランドでサプライズを起こし、国内での女子ラグビーの人気をさらに高めることができるだろうか。注目が集まる。

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