
【ワールドカップ現地リポート】女子日本代表、初戦はアイルランドに完敗。選手それぞれの声。

レスリーHCは相手が一枚上手(うわて)だったと認めた。
当初は両者が強みとするテリトリー勝負(キック勝負)がキーポイントと見ていた。
しかし、勝負を分けたのはセブンズ代表経験者たちの脚力だった。
予想以上にFWがコンタクト局面で受けて中央に集められたことで、スペースを作られたことも大きかった。
「CTBのランで仕掛けてくるなど別の形の武器を見せてきた。そこにわれわれが順応できませんでした」
キックにおいても、SH、CTB、SO、WTBといろんなポジションから蹴った日本に対し、その精度はアイルランドの司令塔、ダナ・オブライエンに分があった。
「蹴ってくると分かっていたけど、しっかりとスペースに落としてきたし、クロスキックやハイパントなどキックの種類の多さを見ても10番が上手だと感じました」(津久井)
前回大会からの成長は肌で感じられている。しかし、相手もまた進化を遂げていた(アイルランドは前回大会不出場)。
ただ、収穫は多かった。
後半から出場したリザーブ陣が奮闘。前半になかなか前に出られなかったFWがゲインラインの攻防で優位に立つ場面を増やし、BKが冷静に素早くボールを回した。
レスリーHCも「リザーブのプレイヤーたちの貢献度には目を見張るものがあった」と称え、後半の戦いぶりを「心から誇りに思う」と語った。
「どつやって回復するのか、われわれの方に流れを引き寄せるのか、そうした修正した姿を見せられました。後半のジャパンは観客の方も敬意を抱くようなパフォーマンスを見せられたのではないかと思っています」
先発メンバーでは、FL川村雅未、CTB弘津悠が攻守に光った。
両チーム最多の18回のボールキャリーと存在感を放った川村は、「(ボールタッチが)今日は特別多かった」と振り返り、その要因を「みんながボールを(外側まで)回してくれた」からとした。
前回大会出場時は1試合の出場、21分のプレータイムにとどまった。
しかし、この試合では80分間、グラウンドに立った。
「結果がついてこないと満足はできない。プレータイムをいただけている分、しっかり結果も残したいです」
BKではチーム最多のタックル回数(12回)を記録した弘津は、今大会が初のW杯。15人制に転向したのはわずか3年前だ。
「自分の成長だけを見れば、15人制を始めたときからステップアップできていると感じました」
セブンズでは東京五輪に出場するなど、国際舞台の経験は豊富。「いままでで一番緊張しました。(前日の夜は)あまり眠れなかったけど、ピッチに入ったときは何をすべきかはクリアでした」と活躍のわけを話した。
試合後のロッカールームで、レスリーHCは「これがW杯だ」と伝え、選手たちを鼓舞した。
重要な一戦を落としても、大会は続く。来週(31日)にはエクセターで世界ランキング3位のニュージーランドとぶつかる。
明日からの過ごし方について、「われわれがとても良くできていた部分を強調していく。ここがすべてだと思っている」とし、「今日は流れを掴むまでに時間をがかかりましたが、トレーニング通りに行かないことは、最高峰の舞台であるW杯ではつきものです。前に進むしかない」と話した。
津久井曰く、「すべてが上手くいったときは通用する」。
「良いキャリーで、ちょっとでも前に出てて、良いサポートがいて、良いセットができてっていう時がやっぱすごい良いテンポが出てたので、みんながそれぞれの仕事をすべて果たしたときに良いアタックができました」
その回数をいかに増やしていけるか。来週こそは、試合開始から果敢に攻めたい。
