国内 2025.08.10

竹内柊平、サンゴリアス入団までの道のり。「自分にではなく、チームにコミット」

[ 向 風見也 ]
竹内柊平、サンゴリアス入団までの道のり。「自分にではなく、チームにコミット」
7月5日、ウエールズ代表戦にPRながらフル出場した竹内柊平(撮影:上野弘明)

 ラグビー日本代表15キャップを持ち、在籍していた浦安D-Rocksを昨季限りで退団した竹内柊平は、7月29日、前所属先と同じ国内リーグワン1部に加盟する東京サントリーサンゴリアスへの移籍を発表した。
 
「めちゃくちゃありがたいです。サントリーに入れて。強いチームのリーダーシップ、カルチャーを学べるチャンス。優勝争いをするのも楽しみです」

 身長183センチ、体重115キロの27歳。突進力とタックルに長ける右PRは、かねてフランス挑戦を目指していた。

 関係者の話を総合すれば、今夏開幕のシーズンに向けた市場はその年の春頃には閉幕ムードを迎えるもの。それでも竹内の働き場は、故障者の穴埋めなど緊急補強のチャンスがあった。

 ジャパンでブレイクした通称「TK」は国内外の代理人を頼り、その可能性を模索。7月の対ウェールズ代表2連戦でハイパフォーマンスを披露し、ある強豪から好感触を得た。

 それでも、正式なサインには至らず。ここで再検討したのが、国内勢からもらっていたオファーの数々だった。

 D-Rocksを辞める際、自身を欲しがるリーグワンのライバルチームが複数あると確認していた。そのうちのいくつかは、他国へのチャレンジに区切りがつくまで待ってもらえそうだった。

 待機組のひとつであったサンゴリアスは、日本で続ける場合に門を叩いてみたいクラブでもあった。

 旧トップリーグ時代に5度優勝とトップに立った経験があり、自身の攻撃力が映えるアタッキングスタイルをモットーとしていて、かつ、流大、中村亮土といった日本代表でリーダーシップを取ったことのあるベテランが勢ぞろいしているからだ。

 代表候補合宿に参加していた6月上旬、キャンプ地の菅平で先方の首脳に意欲を伝えた。

 まだフランス側と交渉中であることを正直に告げたうえで、自分がサンゴリアスをリスペクトしていることを訴えた。

 やがて、諸々の合意に至る。

「僕が一番ハングリーに成長し続けられるのはどこか。間違いなくサントリーだと思いました」

 D-Rocksでは2部も経験した竹内は、新天地で様々に発見したい。特に、熟練者がどう周りをリードしているかに興味がある。

「発言する人、しない人…。色んなリーダーシップの形があると思います。それを肌で感じられるのが楽しみです」

 厳しい競争も望むところだ。元ジャパンの垣永真之介、昨季出番を増やした中野幹らと鎬を削る。来季が実質1年目となる木原三四郎は、直近の日本代表に招集されているとありすでに対面済みだ。後輩をリスペクトする。

「(木原は)勤勉です。決まったことを愚直にやり続け、痛いところに頭を突っ込め、きつい時でも自分をプッシュできる。すごいと思いますよ。あの年齢で、あの(代表クラスの)強度で…」

 古巣での反省も活かす。

前年度は首脳陣の求めに自身の理想形を適応させるのに苦しみ、出場機会を減らしていた。

 その後の代表活動では、エディー・ジョーンズヘッドコーチから「TKがチームのためを思ってくれているのは嬉しいけど、自分の仕事だけをしてくれと」と助言され、「(心に)沁みました」。今度のステージでも、まずはフォア・ザ・チームに徹する。

「僕、突っ走っちゃうんです。『ここに走って』と言われず『目標』がないと、違う方向へ行ってしまう。(D-Rocksでも)皆に色んなことを学ばせてもらいました。サンゴリアスでやれるのも楽しみ。これまでのキャリアであった反省も活かせる。新しい自分を見せたいです。自分にコミットするのではなく、チームにコミットしたい。それも、伝統のあるチームで」

 ナショナルチームの一員としても、よい時間を過ごしたい。8月下旬からはパシフィック・ネーションズカップが開幕。竹内にとっては、もしも海外行きを決めていたら参加するのが難しかった大会である。

 12日にアナウンスのスコッドへ名を連ねるのを目指し、「(参戦する)フィジー、サモア、アメリカ、カナダのなかでも、ナンバーワンのタイトヘッド(右PR)になる」と意気込む。

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