2025年都内の国公立大大会は東京学芸大が3連覇。41-36で東京大を破る

都内にキャンパスを置く国公立大学ラグビー部の2025年度大会の決勝が、6月8日におこなわれた。
2連覇中の東京学芸大と東京大の顔合わせで、昨年は学芸大が29-28東大と1点差の試合だった。今年もお互いの意地をぶつけ合い、前後半とも先に加点した学芸大が東大の追い上げを守り切って41(前半20-21)36で勝利。3連覇を達成した。
一橋大ラグビー場でおこなわれた決勝戦。前半、東大が押し気味で進めるも4分、東大ボールをブレイクダウンで学芸大が奪うと、6番をつけた1年生、櫻井正隆(都青山)がゲインする。櫻井は高校時代、WTBで東京都選抜メンバーにも選ばれた。ランは自慢だ。
櫻井からインサイドCTB竹内大翔(2年、秋田中央)につなぐと、すぐにもう一人のゲイン役であるCTB木村粋雅(きよまさ。2年、桐蔭学園)へ。木村が左隅へ走り込んだ。Gは竹内が成功し7-0。
10分には東大ボールのスクラムから出たボールへ学芸大がからんでノットリリースでPKを得ると、竹内がPGで加点した。
リスタート、キックされた楕円球は右タッチ際へルーズになりそうな状況も、木村が確保しNO8片岡正太(4年、都青山)に。片岡は木村へ返すと東大エリアへ侵入。さらに木村がラストパスを片岡へ通し15点目を記録、G成功し早くも17-0とした。
「試合の入りが良くない。緊張している」。川出宗一郎・東大監督の予測が当たった。

東大は優位なスクラムで徐々に支配権を奪う。14分、コラプシングで得たPKを右ラインアウトにすると、学芸大トライラインへ迫る。学芸大がこらえきれず2度の反則を犯す。東大はPR一木空也(5年、西大和)がポスト右へ置いた。GはCTB武村晋(3年、灘)が蹴り込み17-7。
24分には東大のハイパントを学芸大が取り損ね、ボールを拾った武村が中央へ。Gも自ら決めて7点をマークする。
続いてのリスタート、東大が学芸大のノックフォワードを誘いスクラム。ここも押し切りラインアウトへ進む。しかし学芸大がまたも絡んでPK、竹内が3点を加点した(20-14)。
40分、東大はゴール前のスクラムを生かしHO辻翔太(修士1年、開成)が学芸大守備網をこじあけた。武村がG成功し、ついに20-21と初めてリードを奪う。前半終了前、学芸大は竹内が左側からPGを狙うも外しハーフタイムに。学芸大は前半だけで8個のPKを与えた。
ボールを動かす学芸大とスクラム、モールで勝負したい東大の後半戦。4分、またも先に得点したのは学芸大だった。
CTB木村の蹴ったボールがルーズになりFL櫻井が快走、中央へダイブした。準決勝の東京都立大戦でハットトリックを決めており、大会4個目のファイブポイント。学芸大が27-21と再逆転する。
11分には学芸大HO佐藤真太郎(2年、仙台三)のゲインを生かしNO8片岡が仕留めた(34-21)。

20分すぎから前半と同じように東大が学芸大陣で試合を進めるようになった。しかし得点を奪えず。ようやく32分、交代で入ったLO目黒麟太郎(2年、秋田)が仕留めた(34-26)。
33分、学芸大は脚の負傷リハビリ中の主将、宮崎怜詞(4年、川和)を投入、士気を高める。2分後、CTB木村がトライを奪い41-26とほぼ試合を決めた。
しかし「15点差になり気が緩んだ」(岩本悠希監督)。あきらめない東大は36分にPGで3点を追加。41分、ゴール前のPKからタップで攻めNO8領木彦人(げんと。4年、ソウル外国人学校)が左中間へ仕留め、Gで41-36とサヨナラ圏内へ入った。
43分、東大がラインアウトから運ぶ。しかし学芸大がラックで粘り、領木がノックフォワードで終えた。
「去年、1点差で負けて、この試合にかけてきた。最後は自分のノックフォワードで終わり悔しい」とゲームキャプテンを務めた領木。「ここが自分たちの現状ということを確認して夏以降に修正していく」と続けた。
学芸大はこの日もリザーブは3名。岩本監督は「少ない人数で連覇ができて良かった。夏は宮崎も戻り精神的支柱になってくれる」。秋は新規参加の関東大リーグ戦5部だ。「地区対抗と比べて試合が続き長丁場になる。ケガ人が出ないように鍛えます」。
【準決勝 学芸大は都立大の追い上げをしのぐ。東大は東京科学大に後半逆転勝ち】
準決勝2試合は6月1日におこなった。
東京学芸大は東京都立大と対戦。前半、先制すると33分、39分にFL櫻井正隆(1年)が連続トライを奪い21-0で折り返した。

後半、都立大が得点源のラインアウトモールで押し込みHO岡元隆太(4年、小山台)がファイブポインターになる。GもSO大森拓実(3年、日野台)が決めた。12分には学芸大22メートル線外の左ラインアウトモールから継続しFL山田晃大(3年、茗渓)がトライラインを越えた。山田は強豪・茗渓出身もラグビーは大学で本格的に始めた。Gの2点で21-14と追い上げた。
17分、学芸大はキックリターンからつなぐと去年の主将、茗渓で楕円球に親しんだSH北澤陽斗(修士1年)が左中間へ運んだ。3分後にはFL櫻井がハットトリックを記録33-14とした。都立大も1トライを返したが、残り5分で学芸大が連続トライし47-21で終了した。

もう1試合は、東京工業大から名前を変えた東京科学大が前半を支配。力を出せない東大から2トライし14-5とした。
しかし後半は東大が持ち直す。5回、トライゾーンに入り36-14と逆転し決勝戦へ駒を進めた。