海外 2025.06.09

クライストチャーチボーイズ高のSH、渕上裕が140回目の伝統の一戦に先発。3年連続で出場果たす。

[ 松尾智規 ]
クライストチャーチボーイズ高のSH、渕上裕が140回目の伝統の一戦に先発。3年連続で出場果たす。
毎試合、息子の応援に駆けつけている渕上の両親とSH渕上

 ニュージーランドの南島に位置するクライストチャーチ・ボーイズ・ハイスクール(以下、CBHS)とクライスト・カレッジによる、伝統の一戦が今年も開催された。

 1892年に始まり、今年で140回目を迎えたこの対決は、CBHSが激戦の末に48-38のスコアで4年連続の勝利を辛くも手にした。

 CBHSのYear13(日本でいう高校3年生)で、3年連続の出場を果たした渕上裕(ふちがみ・ひろ)は、2年前にYear11(高校1年)で一人だけファースト・フィフティーン(以下、1st XV/1軍)に選出されている。

 高校ラストイヤーとなる今年も、引き続き1XVで活躍し、昨年同様に背番号9のジャージーをつけて先発出場を果たした。

 同じクライストチャーチにある対戦相手のクライストカレッジもまた、ラグビー界に有名な選手を輩出している名門校だ。
 OBには、オールブラックスでも活躍しているSO/FBダミアン・マッケンジーや、埼玉ワイルドナイツのロビー・ディーンズ監督などが名を連ねている。

 日本人選手では昨年カンタベリーでビューした三宅駿が、在学中にこの伝統の一戦に出場していた。

 Miles Toyota Premiership(クルセイダーズ地区の1XVの大会)の第4節にあたる同試合は、6月3日の肌寒い午後1時、曇りに覆われたクライスト・カレッジでおこなわれた(35分ハーフ)。

 立ち上がりはCBHSが勢いを見せ、開始10分で2トライを挙げた。
 ホームのクライスト・カレッジもすぐに1トライを返して7-12と食らいつくが、その後は再びCBHSが優位に立った。

 FWがよく前に出てゲインラインを続々と突破。20分、28分にトライを追加し、24-7とリードを広げた。

 しかし、ここからクライスト・カレッジの反撃が始まる。
 31分にはFBギャビン・ホルダーが約50メートルを走り切る独走トライ。このトライで息を吹き返し、前半終了間際のピンチも堅いディフェンスで防ぐ。12-24でハーフタイムを迎え、後半に望みを繋いだ。

 ハーフタイムではこの一戦でお馴染み、応援に駆け付けた生徒たちによるハカ合戦が披露された。
 これに応えるように、後半も熱い35分が繰り広げられた。

 CBHSは後半4分、PGで27-12とリードを広げたが、またしてもクライスト・カレッジが追い上げる。
 再びFBホルダーのビックゲインからチャンスを演出、トライを挙げた。19-27と8点差に迫った。

 10分、CBHSの放ったPGがポストに嫌われると、クライスト・カレッジはカウンターを仕掛け、一気に中央までボールを運んだ。
 さらに反則を犯したCBHSにシンビンが出る。まもなくトライを奪い、1点差(26-27)まで迫った。

 20分にはCBHSに26ー34と再び8点差とされるも、3分後にはラインアウトモールで2度目の1点差(34-33/23分)に。
 その後は両校1トライずつ追加し、試合終了残り5分で41-38とスコアは動いた。

 終盤はCBHSの猛攻が続き、クライスト・カレッジが固い防御でなんとか防ぐも、残り時間1分で決勝トライを挙げ、試合を決めた。

 最終スコアは48-38。
 CBHSは猛追に遭いながらも、一度もリードを許さなかった。
 敗れたクライスト・カレッジも、最大17点差のビハインドから二度も1点差に迫る執念を見せた。

 これで両校の戦績はCBHSが88勝、クライスト・カレッジが43勝、そして9引き分けとなった。

 勝利した瞬間は喜びを爆発させていた渕上はしかし、試合を終えると「アベレージ」(良くも悪くもない)と自身を評価した。

 昨年はクルセイダーズ地区で優勝を逃したこと、2年前には全国大会(TOP4)を目前に南島代表決定戦でサウスランド・ボーイズ・ハイスクールに28-29で敗れた経験からだろう。
 あえて厳しめの評価を下していた。

 CBHSはクルセイダーズ地区の昨季チャンピオン、ネルソン・カレッジにも5月24日に58-31で勝利している。
 2年ぶりの地区優勝、その先の全国大会(TOP4)に向けて楽しみは続く。

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試合前のハカ
今季は警備体制が例年以上に強化されたため、試合終了後に勝利チームの生徒たちがタッチライン外から選手たちに駆け寄るという、伝統の一戦ならではの光景は見られなかった。しかし逆に、出場した選手たちがタッチラインに駆け寄り、両校ともにハカを舞った

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