デクラークの助言で得意のキックに幅。イーグルス土永旭、日本代表候補合宿で挑戦中。

同僚のファフ・デクラークに学んだ。
京産大卒のルーキーで横浜キヤノンイーグルスに加入した土永旭は、身長170センチ、体重73キロの23歳。年度の変わり目に先んじて合流したクラブで、同じSHの現役南アフリカ代表選手の薫陶を受けた。
デクラークからキックを教わったのだ。お互い左足で蹴るとあり、11学年下の土永にとっては参考になる。
もともと、接点の周りから蹴り足と反対方向へ放つキックがやや苦手だったが、名手の助言で形を変えた。防御に背を向けたところから動作に入れば、外圧を受けにくいとわかった。
「ファフに教わったように蹴るとプレッシャーも来ないし、いいところに(球を)落とせます。左足のキックは、伸ばしていきたい。そこは、負けたくない」
ちなみに箸もペンも右で持ち、ラグビーのパスも右で押し出すほうが得意。ところが足だけは、なぜか左が使いやすい。
「気がついた頃から左足で蹴っていました。小さい頃に遊びでサッカーをしていた時も、です」
ナチュラルなレフティーは5月から、日本代表の関連活動に参加する。
16日からの約2週間は大分で、JAPAN XVに帯同。リーグワンのプレーオフに進まないチームの選手、大学生が主体となり、ニュージーランド学生代表、ホンコン・チャイナを相手に3戦全勝した。
エディー・ジョーンズヘッドコーチの唱える『超速ラグビー』を実践。配球役の若者はこうだ。
「大きな選手に対して(スタイルが)通用するとわかった。質は大切。『超速ラグビー』を体現するには、ブレイクダウン(接点)の精度が大事になる」
攻撃中の接点からテンポよく球を出せるよう、ボール保持者の姿勢、援護役の寄る速さや角度にこだわらねばならないという。
「ひとつひとつのクオリティを上げる。(ジョーンズからは)『超速ラグビー』をするには、SHがテンポを上げるために自分からコミュニケーションを取って、(周りを)コントロールしていくようにと言われています」
6月4日から挑んだのは、長野・菅平での候補キャンプである。JAPAN XVのメンバーに追加招集組が混ざった35名で、同月下旬以降のビッグマッチへサバイバルレースをおこなう。
16日からは宮崎合宿があり、6月28日にはJAPAN XV名義でのマオリ・オールブラックス戦(東京・秩父宮ラグビー場)が組まれている。7月5、12日には、対ウェールズ代表2連戦がある(それぞれミクニワールドスタジアム北九州、ノエビアスタジアム神戸)。
大一番を見越し、宮崎にはリーグワン4強勢の面々らも選ばれる見込みだ。
SHには準Vのクボタスピアーズ船橋・東京ベイから藤原忍、フランスのトゥールーズに在籍する齋藤直人が混ざってもおかしくない。
厳しい競争のさなか、土永は凛とする。
「ひとりひとり持っている武器が違うなか、自分の持ち味を出していく」
第2次ジョーンズ政権に当たる現体制へは、発足したばかりだった昨年2月の候補合宿から参加した。昨年12月からのリーグワン1部では、シーズン途中からアーリーエントリーで登録。最終節で出場機会を得た。
旅先での必需品は化粧水。強い日差しのもと涼しげな顔つきだった。