国内 2025.05.23

D-Rocksの藤村琉士は「残された時間を、いい時間に」。入替戦へ堂々。

[ 向 風見也 ]
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D-Rocksの藤村琉士は「残された時間を、いい時間に」。入替戦へ堂々。
第18節は後半14分から登場した藤村琉士[浦安DR]©︎JRLO

 5月9日、東京・秩父宮ラグビー場。夜の雨を浴びた藤村琉士は言う。

「しっかり勝って、形よく終わりたいなと」

 リーグワン1部の浦安D-Rocksの一員として、レギュラーシーズンの最終節に後半14分から登場した。最前列中央のHOに入った。

 12チーム中最下位であること、下部との入替戦に行くことは戦前より決まっていた。

 もっとも「個人的にも、チーム的にも、後を考えずにこの試合だけにフォーカスしました」と藤村。自身は激しくコンタクトし、スクラムを安定させた。特に後者では、仲間同士で相手との間合いを意識できたのがよかったという。

「フロントローの3人、3人の6人(先発、リザーブ)でしっかり(目指すパックを)作れたのでよかったです」

 対する三菱重工相模原ダイナボアーズの右PRには、南アフリカ出身のスクラメイジャーであるクフチャ・ムチュヌがいたが…。

「力があるので警戒しました。でも、(必要以上に)大きく見ずに、自分たちのスクラムにフォーカス。やるべきことだけをやる。それがうまくいった」

 結局、今季3勝目を手にした。キックオフ前から9位だったダイナボアーズを、34-21で下した。今後の課題を述べる。

「細かいところ——例えばオフサイドをしないといった規律のところ、しっかり全員でアタックラインに下がってランナーになる、ブレイクダウンで相手をキル(排除)する——を、どれだけできるかが勝利の鍵になってくる。プレッシャーも感じますけど、とにかく自分たちにフォーカスしていくべきです」

 身長174センチ、体重102キロの26歳。地元の山科ラグビースクール、勧修中、京都成章高を経て上京し、2020年度は出身の日大で船頭役を担った。

 いまいるチームの前身であるNTTコミュニケーションズシャイニングアークス東京ベイ浦安の門を叩いたのは、’21年のことだ。社会人4季目の今シーズンは、一時ゲーム主将を託された。

 クラブにとり昇格1年目となる1部のステージで、重責を担った。

「僕は言葉で喋るタイプじゃない。行動で見せる。誰よりもそれを徹底しています」

 リーグの規定もあり、移籍を希望したり、退団を言い渡されたりする仲間がいることは、終盤戦に突入するまでに共有していた。集団のパフォーマンスにも影響を与えうるこの件にも、藤村は堂々と向き合う。

「この時期はやっぱり、出会いもあれば、別れもある。でも、いまは(全選手が同じ)チームなので。これからラグビーを辞める人だっている。残された時間を、いい時間にしたい」

 24日からの入替戦では、2部首位の豊田自動織機シャトルズ愛知と2連戦をおこなう。今年度の最後を締めくくるデスマッチを「いい思い出」にしたい。

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