女子日本代表“サクラセブンズ”がワールドチャンピオンシップを終え帰国。飛躍のシーズンを振り返る。

HSBC SVNS 2025 ワールドチャンピオンシップ ロサンゼルス大会に出場し、7位となった女子セブンズ日本代表“サクラセブンズ”が5月6日に帰国し、到着した羽田空港で取材に応じた。
7人制ラグビー最高峰のワールドシリーズ「HSBC SVNS 2025」に参戦したサクラセブンズ。シリーズ6大会の総合順位が過去最高の5位となり、上位8チームが進出するワールドチャンピオンシップに初出場を果たした。
ロサンゼルスで開催されたワールドチャンピオンシップは1日目のプールステージで3戦全敗を喫する。2日目はシリーズ3位のフランスに29-17で勝利、7位で大会を終えた。
最年少の谷山三菜子は今季初勝利を成し遂げたフランス戦について「前半から自分たちのボールキープの時間が長くて、良い形でボール運びができたことが勝てた要因だと思います。この部分では練習してきたことが全部出せたのでよかったです」と振り返った。
シンガポール大会直前の4月3日に20歳の誕生日を迎えた谷山は、バンクーバー大会準々決勝・アメリカ戦でマークした逆転トライが「トライ・オブ・ザ・イヤー」を受賞するなどチームと共に飛躍のシーズンを送った。谷山は自身初のワールドシリーズで世界を転戦した期間を「精神的な部分でラグビーにすごく向き合った半年間」と表現し、「自分の課題が明確になって『どこで勝負しないといけないか』が明確になった」と語る。
パース大会の5位決定戦・アメリカ戦で決めた逆転トライがターニングポイントになったと明かし、「自分のやるべきこととか『13分の1』としての役割を身をもって体験できてからは、思い切りプレーができました」と振り返った。
チーム最年長の辻﨑由希乃は、谷山ら若手の思い切りの良いプレーがチームに勢いをもたらしたと語る。
「フランスはフィジカルが強いとか、ニュージーランドは絶対勝てないとか、固定概念がなくチャレンジする姿を見て、自分たちも引っ張られてる部分もあって。若手の選手が今シーズン活躍してくれたことで『自分ももっと頑張らなきゃ』っていう相乗効果が生まれたと思います」
パリ五輪後に就任した兼松由香HCが指揮する初めてのシーズンを終えたサクラセブンズは、今季参戦した10大会(アジアセブンズシリーズ3大会、HSBC SVNS 7大会)ですべてキャプテンを替えていた。
兼松HCが「キャプテンをやることによって自分自身も一皮向けなきゃいけないというか、それぞれのリーダーシップを発揮することで良さが見えるのではないか」というねらいで導入したキャプテンのローテーションシステムは功を奏した。
「もちろん10名全員違うリーダーシップでしたし、それによって他の選手たちも今まで知っていたそれぞれのキャラクターではない新しい一面を見ることができた。またその経験を生かして、今度キャプテンじゃなかった時にキャプテンをどうサポートしたらいいか、という視点も持つことができたので、キャプテンを経験した選手たちが、よりチームのことを常に考えて行動できるようになったと改めて感じています」
進歩によりチームの戦うステージが上がることで、世界との差を痛感する機会も増えた。今季優勝したニュージーランドは「ラグビーの予測力と言いますか、次の次に何が起こるか」を知るチームだった。
「単純なフィジカルとかスピードだけではないものをニュージーランドの選手たちはしっかり持っていて。もしかしたら小さい頃からずっとラグビーに親しんで生活している中で自然と身につけたものかもしれないですけれども、それを今度は日本の文化に置き換えて、どのようにそういったものを身につけられるか、というところも一つの課題だと考えております」
最後のロサンゼルス大会で目標としていたメダル獲得はならなかったが、今季はサクラセブンズの歴史上最も高い位置まで到達することができた。来季のワールドシリーズは再編され、サクラセブンズはディビジョン1で世界トップ8チームと熱戦を繰り広げる。