ブラックラムズ→D-Rocksに期限付移籍。ネイサン・ヒューズは「丁寧」に復調へ。

あらゆる意味で新鮮な感覚だった。
2022年度よりリコーブラックラムズ東京へ加入のネイサン・ヒューズは、4月25日、東京・秩父宮ラグビー場で加盟するリーグワン1部での今季初出場を果たす。
浦安D-Rocksの選手として、である。
発足したての期限付移籍の成立を17日に発表した。各国代表経験者にあたる「カテゴリC」選手の適用は今回が初。件のゲームは合流後初の実戦だった。
東芝ブレイブルーパス東京に挑んだ今度の第16節へは、後半11分に登場した。19-61でシーズン14敗目を喫した後、こう振り返った。
「チーム(D-Rocks)の選手、スタッフの皆さんが暖かく迎えてくれたので、合流から(試合当日まで)の約1週間は本当に過ごしやすかった。残念な結果に終わりましたが、来週から新たなチャレンジを。1試合、1試合、丁寧に、学びを受け入れ、修正していきたいです」
身長195センチ、体重127キロの33歳。イングランド代表22キャップを誇るパワフルなNO8として、過去2シーズン、ブラックラムズの突破役を担ってきた。
しかし今年度は、登録上限が3枠という「カテゴリC」の隊列に元D-Rocksでオーストラリア代表15キャップのリアム・ギルがFLとして、このほど2度目の来日となったニュージーランド代表89キャップのTJ・ペレナラがSHとして加わった。「カテゴリC」勢は合計4人となり、既存組のひとりはラインナップに加われない見込みとなった。
当初こそヒューズはスコッド入りの方向も、開幕前に専門職である右PRに怪我人が続出。その位置を担うパディー・ライアンのグループ入りが決まり、ヒューズはアクシデントに備えてトレーニングをする立場となった。
さらに一時は故障にも泣いた。
タフな時間を過ごす中で迎えたのが、このチャンスだった。
「日本特有のルールのもと、自分ではどうしようもない状況に陥りました。できるだけ落ち込まずに、顔を上げていたところ、このD-Rocksで新しい機会をもらえました。シーズン序盤に腕の骨折がありましたが、メディカルスタッフとの連携のもと日々、尽くしてきました。(万全を期して臨んだ)きょうは久しぶりの実戦とあってかなり疲労がたまりましたが、次戦へ改善し、いい準備をしたいです」
ブラックラムズが前年度こそ12チーム中10位で下部との入替戦出場も、現在は6傑からなるプレーオフ進出へ望みを繋いでいる。
かたやD-Rocksは昇格初年度にして目下12チーム中最下位。レギュラーシーズンを残り2つとするなか、ヒューズは自らの役割を自覚している。
まずは入替戦を避けるための助けとなる。
「試合に出ることが最初の目標で、それを成し遂げた。ここから過去2シーズンの状態に戻るには時間はかかるかもしれませんが、調整できるようにしていきます。私は是非、日本でプレーしたいと考えています。もっともそれには自分がコントロールできることではない部分もある。日々、100パーセント、努力して、もしチャンスがあれば…と思っています」
期限付移籍のリミットはいまの2024-25シーズンが終わるまで。来季以降のポジションを確立するためにも、期待に応える。