国内 2025.04.29

スクラムをチームの強みに。早大・前田麟太朗、ブレイク前夜のサイズアップ。

[ 向 風見也 ]
スクラムをチームの強みに。早大・前田麟太朗、ブレイク前夜のサイズアップ。
早大上井草グラウンドで取材に応える前田麟太朗(撮影:向 風見也)

 鳴り物入りで加わった逸材が、ようやく力を発揮するか。

 早大ラグビー部の前田麟太朗が4月20日、都内にある自軍のグラウンドで関東大学春季交流大会・Aグループの初戦へ先発した。

 主戦場の右PRで後半10分までプレー。持ち場のスクラムで好プッシュを重ね、大東大に57-26で勝った。

「自分としては結構、よかったと思うのですけど、ディフェンスでは課題が残った。(スクラムでも)自分で前に出られているところがあっても、チームとして(相手の)ペナルティーを獲りきれないところもありました。チームでどう押すかが、自分の課題だと思っています。これからも(先発の)3番を着続けられるよう、頑張りたいです」
  
 身長177センチ、体重110キロ。桐蔭学園3年時に日本一に輝き、高校日本代表にもなった。

 全国優勝16度を誇る早大の初年度は、やや苦しんだか。主力チームの公式戦デビューには届かなかった。練習ではおもに、レギュラー組の対戦相手役を務めることが多かった。

 チームは対抗戦で強豪とスクラムで組み勝ったり、2019年度以来となる大学選手権決勝進出を果たしたりしていたが、ルーキーだった前田は大一番をスタンドで見つめるしかできなかった。

「決勝でスクラムを組めなくて、外で見ていて歯がゆいというか、悔しい思いをしました。自分はセットプレーでも、それ以外のプレーでも未熟な部分があって。偉大な先輩の背中を追い続けていたのですが…」

 その間には学びもあった。

 都内拠点である早大上井草グラウンドでスクラムを組むたび、自身と同じ位置にいた当時4年の亀山昇太郎(現NECグリーンロケッツ東葛)の凄みを体感。組んでいる間、組んでいない間の言動の全てが刺激になったという。

「亀山さんが、スクラムの文化を作っていました。ワセダがスクラムを強みにしていたのは、亀山さんのおかげ。(スクラムの)練習でもリーダーシップを取っていたのが亀山さんでした。憧れるし、いつかは追い越したいと思っていました」

 その亀山が抜けたいまは、そのイズムを自らが受け継ぎたいという。

「(スクラムをチームの)強みのままにして、やっていきたいです」

 年度が替わる前のオフはグラウンドの目の前の寮に滞在。帰省せず、敷地内のジムでウェイトトレーニングに励んだ。

「プロテインの回数、ウェイトの量を増やしました。続けることが大事だと思っていたので、ずっと寮にいて…。シーズンが終わってから5キロくらい増やしました。フィジカルアップして、(加盟する秋の関東大学対抗戦Aや選手権のライバルである)帝京大や明大にも当たり負けしないようになっていければ」

 次戦が5月4日にある春季大会はもちろん、秋の対抗戦、冬の選手権でも渋く輝くつもりだ。

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