【南アフリカ記者コラム】代表選手28人抜きでブルズはレンスターに勝った!?

元スプリングボクス(南アフリカ代表)の元ヘッドコーチで現在はブルズのディレクター・オブ・ラグビーを務めるジェイク・ホワイト氏の発言が、ラグビー界に衝撃を与えた。
「ユナイテッド・ラグビー・チャンピオンシップ(URC)の試合で、ブルズは28人の代表選手抜きでレンスターを破ったのだ」
ブルズは3月22日の第13節、ホーム・プレトリアでレンスターを相手に21ー20のスコアで勝利した。
レンスターが記録していた今季のURCでの連勝記録を「12」で止めた。
背景には主力の欠場がある。レンスターはこの日、シックスネーションズに出場するアイルランド代表選手を遠征メンバーに加えられなかったのだ。
これに対し、ブルズは多くの主力選手を起用できたわけだが、ホワイト氏は「それでいうなら我々も28人の代表クラスの選手を欠いていた」と主張した。
ブルズは自前の有望選手を保持できず、最終的には彼らが高額な契約で海外クラブに移籍してしまうからだ。
「彼ら(レンスター)は16人の代表選手を欠いていたかもしれないが、もし我々が海外にいる選手たちを取り戻せたら、約28人の代表選手が揃うだろう。そして、それにはケガで離脱している選手も含まれていない」
レンスターは元フランス代表のPRラバー・スリマニや南ア代表のRG・スナイマン、そして今季はサバティカル制度を利用してNZ代表のジョーディー・バレットといった他国代表を補強している。
「そうした選手編成を比較すれば、公平な土俵とはいえないだろう。我々は海外選手を獲得していないし、内部から選ばざるを得ない。それが良いとか悪いとかを言いたいわけではない。ただ、現実はそういうことだ」
南アフリカのトップチームは9500万ランド(約7億3000万円)のサラリーキャップが定められている。
他国との獲得レースでは太刀打ちできない。
「海外には多くのブルズ出身の選手がいる。彼らがいれば我々はもっと強くなれます。彼らは移籍先のクラブを強化している。中には『彼らが戻ってきたら若手の出番がなくなる』という声もあるが、RGがもしブルズにいたら、彼は練習でも若手に良い影響を与えてくれると私は信じている」
ホワイトは、レンスターに加入したRG・スナイマンやジョーディー・バレットの影響力についても特に言及した。
「FWはRGがすべてをコントロールしていて、BKはバレットが支配している。私はロッカールームに23人のスプリングボクスが並ぶ日を夢見ている。それが、ブルズでの私の理想なんだ」
ワールドカップ連覇を成し遂げたスプリングボクスの司令塔、ハンドレ・ポラードは今季限りでレスター・タイガースを退団し、来季からブルズに復帰する高額契約を結んでいる。
しかし、依然としてポンド、円、ユーロといった外国通貨の誘惑は大きく、ホワイトの夢は「絵に描いた餅」に終わる可能性が高い。
〈海外クラブに流出した選手がいた場合の、ブルズの理想的なXV〉
1 ゲルハルト・スティーンカンプ
2 ヨハン・グロベラー
3 ウィルコ・ロウ(14キャップ)
4 ルード・デヤハー(埼玉WK/59キャップ)
5 RG・スナイマン(レンスター/40キャップ)
6 エールリッヒ・ロウ(16キャップ)
7 ハンロ・リーベンバーグ(レンスター)
8 キャメロン・ハネコム(1キャップ)
9 イバン・バンジール(サラセンズ/8キャップ)
10 ハンドレ・ポラード(レンスター/80キャップ)
11 カート=リー・アレンゼ(相模原DB/24キャップ)
12 ジャン・サーフォンテイン(モンペリエ/35キャップ)
13 ジェシー・クリエル(横浜E/79キャップ)
14 マドッシュ・タムベウェ(モンペリエ)
15 ウィリー・ルルー(98キャップ)
他の候補者:PRピエール・スクーマン(エディンバラ/スコットランド代表40キャップ)、PRトレバー・ニャカネ(セール・シャークス/54キャップ)、HOヤン=ヘンドリック・ウェッセルズ(2キャップ)、HOアッカー・ファンデルメルヴェ(3キャップ)、LOルアン・ノートジェ(6キャップ)、LOコーバス・ヴィーセ、LOニコ・ヤンセ・ファンレンスバーグ(モンペリエ)、FLマルセルクッツェー(30キャップ)、SHエンブロース・パピア(7キャップ)、SOヨハン・フーセン(13キャップ)、CTBデイビッド・クリエル