フランスの若き至宝、ルイ・ビエル=ビアレが描く未来。

スタッド・ド・フランスに響き渡る大歓声。シックス・ネーションズ最終節、フランス代表のメンバーがアナウンスされる中、「11番、ルイ・ビエル=ビアレ」の名が呼ばれた瞬間、観客席は熱狂に包まれた。
5歳でラグビースクールに入り、寝る時も楕円球を離さなかった少年は、今やフランス代表のスター選手へと成長した。21歳、シックス・ネーションズ最優秀選手に選ばれた若き才能は、プロデビューからわずか3年で、フランスラグビー界に旋風を巻き起こしている。
11月のオータムネーションズ・シリーズでは、3試合で4トライを挙げ、欠場していた同じWTBのダミアン・プノーから「Xファクター」の役割を奪った。シックスネーションズでは全試合フル出場で8トライを記録、100年越しの大会最多記録に並ぶという偉業を達成し、赤いヘッドキャップは観客の目を釘付けにした。
名前(Louis Bielle-Biarrey)の頭文字をとって『LBB』の愛称で親しまれ、2年前は『プチ・ルイ』と呼ばれていた青年は、今や『キング・ルイ』と呼ばれる。
「体格は大きくないが、スピード、ゲーム理解力、タイミング、そして勇気で、他の選手にはできないことをやってのけ、観客を魅了する。また、インタビューなどの受け答えから、彼が好感の持てる青年であり、ユーモアのセンスもあると人々は感じているのでしょう。つまり、彼は理想の娘婿のような存在なのです」とボルドーのロラン・マルティ会長は語る。
昨年11月のオールブラックス戦では時速34.9kmのスピードが計測された。「ルイ・ビエル=ビアレは信じられないほど速い」と、ニュージーランド代表監督のスコット・ロバートソンも認めた。2024年5月のラ・ロシェル戦では、自己最高の時速37.8kmを叩き出した。
「試合でこれほどのスピードを出せる選手は稀だ。彼は試合で頻繁に時速35kmを超えるスピードを出すことができ、ほとんど休憩なしに、そしてほとんど減速することなく、それを繰り返すことができる。さらに方向転換もできる。彼の水平方向への加速力は驚異的だ」と、元フランス代表で現在はボルドーのパフォーマンスディレクターを務めるチボー・ジルーは絶賛する。
わずか1.54秒で10mを走る。非常に短い時間で、赤いヘッキャのLBBは、信じられないほどの力を発揮し、それを持続させることができる。
「それほど体重はないが(身長184cm、体重86kg)、非常に強力な推進力を持つ」とジルーは続ける。だから、狭いスペースで相手を抜き去ることができるのだ。
「さらにスピードを向上させることもできるが、彼はラグビー選手。単にボールを持って速く走れば良いのではない」とジルーは強調する。「我々が望んでいるのは、強度の高いスプリントを繰り返す能力を向上させ、より高い強度で、より長時間プレーできるようにし、速度と加速の低下をさらに少なくすることだ」
今季、代表とクラブを合わせて22試合で26トライを挙げているLBBだが、トライを量産することに固執しているわけではない。
「WTBはトライの数で評価されることもあるが、それは短絡的な見方だ。トライを決めるためだけにプレーしているのではない。シーズン中に30トライ決めたからといって、7トライしか決めなかった選手よりも優れているとは限らない。もちろん、トライ数は測れる要素ではあるけど、トライもアシストも、僕にとっては同じ。大切なのは、チームにとって重要な存在であり、チャンスを察知できる能力だ」と昨年11月の現地スポーツ紙「レキップ」へのインタビューで語っている。
そして、トップレベルで長く活躍し続けるために、「自分自身を常に再構築し続け、予測不能なプレーヤーであり続けたい」と言う。
そのために、常に他の選手を観察し、そこからインスピレーションを得て、自分のプレーに取り入れようとしている。身近なところでは、同じボルドーに所属しているプノーから「DFの頭上を超え、自分に有利にバウンドさせるキック」を、またチェスリン・コルビの試合を見て「狭いスペースでディフェンダーを抜き去るスキル」を取り込んだ。
さらにポリバレント(複数のポジションをこなす)な能力を磨こうとしている。
「WTBとFBの両方で良いパフォーマンスができるようになっておく必要がある。2つのポジションはポジショニングで関連しているし、最近は多くのチームがベンチメンバーをFW6人+BK2人、あるいはFW7+BK1にすることさえある。ピッチにいる選手が2つのポジションでプレーできるということが不可欠になっている」
今季はボルドーで、先発13試合中、WTBで8試合、FBで5試合。
「WTBでトライを決めることに喜びを感じるようになったけど、FBでプレーするのも好き。子供の頃はSOだったから、ボールを持ってカウンターを仕掛けることや、スペースを創り出すのが好きだし、ゲームを組み立てるのも楽しい。経験を積めば積むほど、15番でプレーするのに役立つ」
21歳、現役大学生。これからは対戦相手がLBB対策を仕掛けてきて苦戦を強いられる時期もあるだろう。しかし、彼はその壁をも糧として、さらに成長していくはずだ。若き才能の進化から目が離せない。