国内 2025.04.04

夢の体験を現実につなぐ。東京都立選抜が「DR⇒R HANAZONO マッチ」に参加

[ 編集部 ]
夢の体験を現実につなぐ。東京都立選抜が「DR⇒R HANAZONO マッチ」に参加
都立選抜(黒ジャージー)と東大阪選抜が試合後の交歓。東大阪選抜は、布施工科高、近大附高、日新高、上宮高から選手が集まった

「夢の舞台です。都立選抜のジャージーで挑んだ試合は、緊張感がありました」 

 試合を振り返るのは、東京都立青山高校2年のNO8、粂圭太ルーカス。

 3月16日、東大阪市の花園ラグビー場で東大阪市高校選抜と東京都立高校選抜のゲームが行なわれた。イベントは「DR⇒R HANAZONO マッチ」(以下、花園DRR/東大阪市主催)と銘打たれ、東京から遠征した東京選抜はその大会参加チームの一つとして、花園でプレー。地元・東大阪選抜の「歓迎」を受けた。

■3月16日(日)DR⇒R HANAZONOマッチ(U17)
東京都立高校選抜 21-5(前半14-0) 東大阪市高校選抜
(大阪・花園ラグビー場)

 花園は高校ラグビーのプレーヤー、スタッフの高校生たちにとって、まさに夢の舞台だ。ふだんはスポットライトの当たらないチームにその芝を踏んでもらうことで、高校ラグビー全体の振興と競技者拡大につなげたい。花園DRRはそんな思いから30年以上続いている。一方の東京では2年前から、やはり高校ラグビーの存続と振興を謳って「東京都立選抜(とうきょう・とりつせんばつ)」を結成してきた。このコンセプトの合致が、今年は都立選抜の花園遠征というかたちになった。

 ホストチームの一つとなった東大阪市選抜は、布施工科高、近大附高など市内の高校で構成された。都立選抜には都新人戦上位の青山高、小山台高、石神井高から選手が集まった。

 都立選抜はもちろん、本気モードで東大阪選抜に挑んだ。

 しなやかなランをチームをけん引した粂圭太ルーカスは、「集中してプレーできました。この経験を活かして春からの公式戦に臨みたい」という。

 全国大会の夢と、目の前の現実を繋げる。まさに、このイベントを主催する東大阪市の意図するところだ。「夢を現実に(Dream→Real)」。東大阪市はこのイベントのために花園使用を無償で提供している。青山高は2019年度には、花園予選で準決勝進出を遂げている。しかし、東京でわずか2校に与えられる花園出場権にはまだまだ距離がある。

 都立選抜の後半に出場したゲームキャプテン、小山台高2年のHO三矢航太郎主将は、強気のスクラムワークでFWを引っ張り、後半逆転の流れを引き出す好プレーを示した。「都立生の代表としてここでプレーできたことに感謝したい」と試合を振り返った。

 ゲームは、遠征チームにとって充実の内容となった。

 都立選抜は前半からFWで優位に立ち、ラインアウトモールのトライをもぎ取る。7-0のスコアでハーフタイムに入った。後半は、東大阪選抜のスピードあふれるカウンターに1トライを献上したが、崩れなかった。FWの起点を押さえながらタッチ際でBKを走らせて2トライを加え、21-5で勝利を収めた。

「花園のスタンドから、自分たちの学校の仲間や、OBの皆さんの応援がよく聞こえました。プレーにも、より気持ちが入った」(小山台高HO三矢)

「スタンドもフィールドも広くてびっくり。芝の緑が鮮やかでした。花園でサポートできた経験を生かして、これからもがんばります」(青山高マネージャー中村麻緒)

 開始から、熱く冷静に自分たちの強みを押し出せたこと。テンポを上げて「外」でトライを奪ったこと。相手の反撃にも揺らがなかったこと。自分たちのかたちでリードを広げ、勝ち切ったこと。それを大舞台で発揮できた経験は、それぞれのチーム、個人にとって貴重な財産となる。

「東大阪市役所の奥井様、布施工科高の西村先生に感謝します。来年は、東大阪市選抜に東京に来てもらえたら」(石神井高・石川善司先生)

 今回の遠征は、宿泊費、交通費とも部員自己負担で賄われた。遠征とあって参加者は、東京都の都立高ラグビー全体からすれば一部の高校生にとどまる。しかし、3年目を迎えた「東京都立選抜」のムーブメントにとっては貴重なステップとなった。来季からは、過去2年おこなってきた希望者参加の練習会、選抜メンバーによる定期戦など、通常活動も継続される見込みだ。

〇東京都立高校選抜
都立ラグビーの競技者拡大と振興を目的に、不惑倶楽部の有志と石川善司氏(豊多摩高/当時)が発起人となり設立された会。埼玉県立深谷高との定期戦をターゲットゲームとし、その他クリニックなどを開催しながら都立ラグビー振興のため活動中

3月15日午後に到着し現地練習、16日夕刻には帰路に就く日程。試合は都立選抜FWがよく踏ん張った(PHOTO/TORITSU-SEMBATSU)
U18のPOMは近大附の松川友哉。右はプレゼンターの土屋有司レフリー(都立選抜)。今回の花園遠征は、都立選抜顧問・鈴木章浩都議の尽力で実現した(PHOTO/TORITSU-SEMBATSU)

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