首位攻防戦、それぞれの声②「見たことない景色が見えてしまって…」杉山優平[東芝ブレイブルーパス東京]
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今季2度目の対決となった、東芝ブレイブルーパス東京と埼玉パナソニックワイルドナイツの首位攻防戦。
28-28で引き分けた1か月半後(3月22日/第12節)の再戦では、42-31でブレイブルーパスが制した。
本企画では、秩父宮ラグビー場に1万6937人を集めた同試合を選手目線で振り返っていく。
2人目はブレイブルーパスのSH、杉山優平だ。
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後半23分に小川高廣と交代するまでグラウンドに立った杉山は、前半終了間際に今季初のトライを記録した。
トライラインまで迫ったCTBロブ・トンプソンのオフロードパスを受け、トライゾーンに入った。
トライ直後の雄叫びについて聞かれると、「あのタイミングでワントライ取れたのはチームにとってすごく大きいと思ったので」とはにかむ。
直前に21-10と点差を縮められていただけに、18点差までリードを広げる大きな得点だった。
その30分前にはトライチャンスを逃していた。
11分、左タッチライン際をWTB森勇登が足技を駆使して突破。サポートしていた杉山がパスを受けてトライゾーンにグラウンディングするも、TMOの判定の結果、タックル成立後のプレーとされ、ノートライトなった。
「真ん中に走ればトライだったと思うんですけど、(ランニングのシチュエーションに)慣れてなくて普段見ていない景色が見えてしまって…(笑)。少し怖くなって、内に(ステップを)切ってしまいました。2回目で取れて良かったです」
隠れた貢献はワイルドナイツのペナルティを誘発したことだ。
相手は何度かブレイクダウンで笛を吹かれていた。
「前回(の対戦)は特に前半、ブレイクダウンですごいプレッシャーを受けました。相手は反則気味というか、ギリギリのラインを突いてきます。なので、クリアに見えたらすぐ捌くし、怪しいなと思ったらレフリーにアピールしました。テンポばかり意識するのではなく、レフリーに(反則かどうかの)基準を前半で示せました」
この日奪った6トライの多くは、少ないフェーズで取り切った。
アタックをデザインするのは、森田佳寿コーチングコーディネーターだ。
「自分たちの準備してきた形で取れました。森田さんの思い描いてる絵を僕たちがしっかり体現する。そこの擦り合わせができていました。試合の中で上手くいかないことがあれば別のサインを選択したり、そこはリッチー(モウンガ)がコントロールしてくれている。たくさんサインがある中で上手く試合の中で使えています」
その中で自身も個性を出す。「意識しているのは(各選手の)キャラクターを生かすこと」と話す。
「BKにもいろんなタイプの選手がいるので、そのキャラクターに合ったボール捌きをしたいと思っています。例えば、ジョネ(ナイカブラ)は早めに放るし、ロブ・トンプソンは(コンタクトする)ギリギリで欲しがります。セタ(タマニバル)はオフロードを得意としているので早めにあげた方がよかったり。もちろん、状況によって違いますが。日々のトレーニングで本当に細かいですけど、いろんなコミュニケーションを一人ひとりと取っています」
これで首位攻防戦を1勝1分けで勝ち越し、リーグ戦1位に躍り出たが、冷静に振り返った。
「自信にはしたいと思いますが、僕たちがやりたいラグビーをすることが一番勝利に繋がってる。そこを変わらず大事にして、皆さんに見せられたらと思います」